住友化学は10月5日、温室効果ガス排出削減に向けた取り組みの一環として、千葉工場(千葉県市原市)の既存の石油コークス発電設備を廃止し、高効率なガスタービン発電設備を新設すると発表した。同設備の完成は2023年秋を予定している。
同社は、千葉工場で運転している火力発電設備のうち、石油コークスの使用を廃止し、CO2排出係数の低い液化天然ガス(LNG)を燃料とするガスタービン発電設備を新設する。それにより、千葉工場から排出されるCO2の約20%に相当する年間で24万t以上を削減する計画となっている。また、隣接するグループ会社の広栄化学にも同設備から電力供給を行い、同社グループとしてさらに温室効果ガス排出削減を図る。なお、今回の新設は、広栄化学との連携事業として、経済産業省の令和2年度「省エネルギー投資促進に向けた支援補助金(エネルギー使用合理化等事業者支援事業)」の交付が決定している。
2015年に国際的な枠組みとして採択されたパリ協定では、産業革命以前からの平均気温上昇を低く抑える「2度C目標」や「1・5度C目標」が示されており、温室効果ガスの排出削減対策は喫緊の課題となっている。そのため同社は、2018年2月、愛媛工場(愛媛県新居浜市)の敷地内に5社共同出資によるLNG基地建設への参画を決定した。同基地が供給するLNGを、グループ会社である住友共同電力が2022年7月に稼働予定の火力発電所で使用することで、愛媛工場のCO2排出量を削減する計画となっている。また、2018年10月には総合化学企業として世界で初めてScience Based Targets(SBT)イニシアチブによる認定を取得するなど、同社は温室効果ガスの排出削減に積極的に取り組んでいる。