帝人は10月13日、同社の炭素繊維「テナックス」を使用した中間材料が、世界有数の航空機向け構造材メーカーであるコリンズ・エアロスペース(コリンズ社)の材料認定を取得したと発表した。
認定を取得した炭素繊維中間材料は、熱可塑性複合材料織布「テナックスTPWF」と炭素繊維強化熱可塑性樹脂積層板「テナックスTPCL」で、いずれも同社が展開する炭素繊維強化熱可塑性複合材料(CFRTP)となっている。「テナックスTPWF」は、炭素繊維織物に熱可塑性樹脂を付着もしくは含侵させたシート状の材料で、「テナックスTPCL」は、「テナックスTPWF」を積層させ、熱と圧力をかけて成形した板状の部品。ともに母材である樹脂にポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を使用しており、高い耐熱性、耐衝撃性、および耐疲労性を有している。また、成形時間が短いことからコスト効率や生産性の向上にも貢献し、航空機の構造材など、優れた機械特性が求められる部品の大量生産に適している。
同社グループはコリンズ社に対して、米国で炭素繊維事業を展開するテイジン・カーボン・アメリカが航空機のブレーキ材向けに耐炎繊維「パイロメックス」を供給しており、繊維サプライヤーとしては世界で唯一「サプライヤー・ゴールド」の認定を受けるなど、強固なビジネス関係を確立している。今回「テナックスTPWF」と「テナックスTPCL」が新たに認定を取得したことにより、その供給を通じてさらなる関係強化を図っていく。
同社は中期経営計画において、航空機向け炭素繊維中間材料の展開を「将来の収益源育成(Strategic Focus)」と位置づけており、高強度高弾性率炭素繊維や熱可塑性樹脂を使用した一方向性プリプレグテープをはじめ、炭素繊維強化熱可塑性樹脂積層板、熱硬化性プリプレグなどにより、グローバル市場で幅広く用途開発を進めていく。さらに、航空機向け炭素繊維製品のマーケットリーダーとして、ソリューション提案力を一層強化し、2030年近傍までに航空機用途で年間90億米ドル超の売上を目指している。