合成ゴム・化学メーカーの21年3月期第2四半期連結決算(クラレは20年12月期第3四半期)が出揃った。新型コロナウイルス感染症拡大の影響などを背景に、全社ともに減収となった。
◆JSR
コロナ禍により、グローバルな自動車生産は第1四半期には一時期、対前年で50%まで落ち込んだ。中国はプラス成長に回復したものの、グローバルで依然としてマイナス成長になっているほか、タイヤ生産も下落した。
◆日本ゼオン
合成ゴム関連では、新型コロナ感染拡大による世界経済悪化の影響が続き、主要市場である自動車産業向けをはじめ、一般工業品用途向けの大幅な落ち込みからの回復の足取りも重く、国内・輸出・海外子会社とも低調に推移した。この結果、売上高、営業利益ともに前年同期を下回った。
◆三井化学
エラストマー、機能性コンパウンドは、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、販売が減少した。
◆住友化学
石油化学事業では、新型コロナ感染拡大の影響に伴う経済活動の落ち込みにより、自動車関連用途を中心に合成樹脂などの出荷が減少した。また原料価格の下落に伴い、石油化学品などの市況が低水準で推移した。
◆旭化成
マテリアル事業では、自動車市場等の市場環境の改善に伴い各製品の需要が回復してきたことに加え、電子材料製品の好調な販売が継続した。
◆宇部興産
合成ゴム事業は、タイヤ用途を中心に出荷が大幅に減少したことに加え、製品市況が下落したために減収減益となった。
◆デンカ
新型コロナ影響を受け、クロロプレンゴム(CR)など一部の主要製品が低調な動きを見せたことや、原料市況の下落に伴うスチレン系製品の販売価格の改定などもあり前年同期に比べて減収となった。
◆東ソー
石油化学事業は、ポチエチレン樹脂はコロナ影響で国内外で輸出が減少し、ナフサ価格の下落を反映して製品価格が下落。クロロプレンゴムは、新型コロナウイルス感染拡大の影響による需要減少に伴い、アジア向けを中心に輸出が減少した。
◆クラレ
イソプレン関連は、ファインケミカル、熱可塑性エラストマー「セプトン」ともに、主に中国、アジアにおいて需要低迷の影響を受けた。
◆信越化学工業
シリコーン事業は、汎用製品の価格下落に加え、化粧品向けや車載向けの需要鈍化の影響を受けた。
◆ダイキン工業
フッ素樹脂は、世界的な半導体及び自動車関連の需要減、さらに米国での建築・航空機関係の需要の落ち込みもあり、売上高は前年同期を下回った。フッ素ゴムは、自動車関連分野の需要は中国市場を中心に回復してきているが、国内や米国、欧州、アジアでの需要の落ち込み影響が大きく、売上高は前年同期を下回った。