住友ゴムは2月14日、2010年12月期決算を発表したが、同社三野社長は次期業績予想について「天然ゴムをはじめとする原材料価格の高騰が非常に大き なマイナス要因となり、そのマイナスを原価低減や経費節減ではカバーしきれず、タイヤ部門で年間175億円、前期比56%減、スポーツ、産業品その他部門 でも減益が予想され、全体の利益はほぼ半減する」見通しであることを明らかにした。14日発表の記者会見での質疑応答は次の通り。
〈次期業績予想〉
円高に加え天然ゴム相場が過去に類を見ない高水準で推移する異例の事態であり、さらに台頭著しい新興国タイヤメーカーが現地市場での競争に本格参入して くるなど厳しい状況が続くものと懸念されるが、このような環境の中、当社グループでは開発力の強化とコストダウンなどより一層の構造改革を推し進めるとと もに原材料価格高騰による影響の一部を販売価格の是正によって、お客様にご負担いただくようお願いせざるを得ないと考え、本日国内市販用タイヤの値上げを 発表した。
経常利益での増減要因をみると、原材料価格でマイナス457億円と天然ゴムや石油、カーボン資材を中心に昨年に比べ大幅に価格が高騰しており、非常に大きな減益要因となる予測である。
販売要因では価格改定でプラス318億円、数量増、構成でプラス72億円となる見込みであるが、為替がマイナス49億円の減益要因となっている。
〈設備投資〉
2010年は減価償却費レベルの投資で312億円を実施、2011年は総額509億円を予定している。新興国を中心とした海外市場における需要拡大に対 応するため海外工場での能力増強を中心に引き続き積極的、効率的な投資を行っていく。海外需要を中心に伸びていくということで、このペースでいくと2年に 一回に新工場の検討を進めなければならないが、2011年にタイ工場の増設に加えて中国の第2工場の建設が本格化する。海外を中心とした6~7%の販売量 増加に見合う能力増強を図っていくことになる。
これら設備投資の結果、2011年末のタイヤ生産能力は前期比3%増の月産4万6000㌧となり、年間の生産量は前期比6%増の50万4000㌧となる。年間稼働率は前期の93%から98%に、海外タイヤ生産比率は2010年の36%から2011年には42%に達する。
2011年02月26日