デンカは11月5日、xEV向け放熱材料の事業強化の一環として、福岡県大牟田市にある大牟田工場で製造する窒化珪素の生産能力を現行比から約3割増強し、機能性セラミックス事業を強化すると発表した。稼働時期は2022年度下期予定。
xEVの普及に伴い、放熱材料市場の伸長だけでなく、車載部品の高性能化により、高熱伝導性や高信頼性等、その要求水準が飛躍的に高まっている。同社の窒化珪素は、高熱伝導性をはじめ高強度、耐摩耗性、高信頼性等の特長から、車載駆動用インバーター向け放熱基板や風力発電向けベアリングボール、半導体製造装置など構造材用途において高い評価を得ている。今回の生産能力増強により、安定供給体制をさらに強化するとともに、多様なユーザーニーズに応えていく。
窒化珪素は熱的・機械的特性に優れた代表的なエンジニアリングセラミックの一つであり、同社は生産能力、市場シェア共にトップクラスの位置付けにある。
同社は経営計画「Denka Value―Up」における成長戦略「事業ポートフォリオの変革/スペシャリティー事業の成長加速化」の一環として、5G・xEVを中心とした環境・エネルギー分野に注力している。1915年の創業以来培ってきた無機材料の高温焼成・窒化反応・粒径制御等の基盤技術をもとに、球状溶融シリカ、窒化ホウ素、球状アルミナ、蛍光体など多岐にわたる機能性セラミックスを提供するトップメーカーとして、先月市場に投入した球状マグネシアのほか、新たな素材の開発にも積極的に取り組んでいる。
また、今後需要の増加が見込まれるリチウムイオンバッテリー向け超高純度アセチレンブラックの安定供給に努めるとともに、5G用途のLCPフィルムや低誘電絶縁材料(LDM)等、機能性セラミックス以外の新素材開発も進め、環境・エネルギー分野において2022年度の営業利益200億円達成を目指す。
なお、同社は、今回の生産能力増強により2020年度連結業績への影響はないとしている。