デンカは11月6日、シンガポールでの事業開始から40周年を迎えたと発表した。
同社は、マンガン乾電池や高圧ケーブル被覆材向けに用いられるアセチレンブラックの生産強化を目的とし、日本の化学メーカーの先駆けの一社として1980年9月20日にシンガポールへ進出した。その後アセチレンブラックに加え、半導体封止材向けに世界的シェアを有する溶融シリカから様々な用途に拡大するスチレン系樹脂、そして塩ビ合成繊維Toyokalonまで最先端の技術を有する事業を次々に展開し、現在4拠点で7製品を生産している。さらに、2009年にアジア・パシフィック地域の事業を統括する持株会社を設立、2013年には周辺国でのインフラ投資拡大に対応すべく特殊混和材の東南アジア事業統括拠点を設立し、2016年には熱帯感染症対策に貢献すべくライフサイエンスの研究拠点を設立した。
これらの事業展開を経てシンガポールの事業拠点は、同社グループ最大規模の売上高5億USドル、営業利益6000万USドルとなり、40年間で約300人の雇用を創出した。また、近年は現地従業員の経営幹部職への登用や若手大卒者の日本での研修制度による人財育成、博士号取得者など高度人財の採用も積極的に進めている。
同社はシンガポール経済開発庁(EDB)の協力の下、リチウムイオンバッテリー向け超高純度アセチレンブラックの能力を増強するとともに、2021年の稼働を目指して、xEVや5G向けなど次世代の半導体に使用される球状アルミナおよびLED導光板用途で高いシェアを有するMS樹脂の新規投資を進めている。また、スチレン系樹脂の生産を行うセラヤ工場をデンカグループのモデル工場として、リアルタイムでの需要予測やビッグデータの解析などスマート工場化に向けた積極的なIoT投資を行っている。
こうした新規投資に伴う技能と能力を有する人財の積極的な採用により、同社は2022年末までにさらにシンガポールで40人以上の雇用を新たに加える予定で、同社はシンガポールを重要拠点と位置づけ、今後も先進的な研究開発、事業展開を積極的に推し進めさらなる成長を目指していくとしている。