住友ゴム工業㈱は高性能・高品質タイヤの開発技術として、新材料開発技術「4D NANO DESIGN」を確立した。
今回確立した新材料開発技術「4D NANO DESIGN」は、タイヤ性能を向上させる新材料を効率的に開発するために(1)「調べる」、(2)「予測する」、(3)「作る」、(4)「引き出す」という4つの技術を融合させ、ナノレベルで分子の挙動を表現しながら、材料シミュレーションと解析を行うことで科学的・合理的に材料開発を行い、素材を自在にコントロールすることを可能にした新技術。
(1) 「調べる」(材料をナノレベルで徹底研究する)
世界最高レベルの性能を持つ SPring― 8(大型放射光施設)と地球シミュレータを用い、タイヤの性能に大きく寄与するゴム内部のシリカ等の3次元配置を精密に調べることを可能にした技術。
(2)「予測する」(シミュレーションし分子設計を行う)
従来のデジコンパウンド技術をさらに進化させた新材料開発技術「4D NANO DESIGN」は、タイヤの燃費性能やグリップ性能に関係するゴム内部のエネルギーロスの発生場所を精度良く調べることができる「大規模材料 FEM(有限要素法)シミュレーション」と、そのエネルギーロスを自在にコントロールするために変性ポリマーなどの分子設計を行い、シリカなど配合物との結合や、3次元配置を最適化する「MD(分子動力学)シミュレーション」、また配合物の反応を最適化する「MO(分子軌道法)シミュレーション」から成る 「マルチスケールシミュレーション」で構成されている。
(3)「作る」(設計に基づき自在に素材を合成する)
低燃費タイヤ「エナセーブ PREMIUM」では、シミュレーションで設計したポリマー中の変性基の位置や強度を高精度にコントロールされたポリマーを合成し、低燃費性能とウエットグリップ性能を高次元で両立させることができる「両末端マルチ変性ポリマー」と、シリカとポリマーを繋ぐ結合剤の反応性が最適化された耐熱高反応結合剤を採用することにより、燃費性能を向上させている。
(4)「引き出す」(材料の潜在能力を最大限に活かす)
今回開発した両末端マルチ変性ポリマーおよび耐熱高反応結合剤をはじめ、ゴム材料には様々な材料が含まれており、それらが複雑に関係してタイヤの性能を生み出している。これら材料のパ フォーマンスを最大限に引き出すために、ゴム内部の事象のナノレベルの解析から、適切な材料プロセス技術の開発を行い、タイヤの性能を最大限に引き出すことに成功した。