年頭所感 日本ゴムホース工業会 南野高伸会長

2021年01月02日

ゴムタイムス社
南野高伸会長

南野高伸会長

 令和3年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。

 昨年は、台風・豪雨など、度重なる自然災害が日本各地に甚大な被害をもたらしました。先ずもって、被災されました皆様に対し、衷心よりお見舞い申し上げますと共に早期の復興を祈念致しております。

 さて昨年の日本経済は、新型コロナの影響で歴史的な落ち込みを経験しました。世界経済の下振れを背景に輸出が大幅に減少し、生産活動は低調に推移。先行きの不透明感の高まりにより設備投資にも慎重な動きが見られました。 

 このような状況下で昨年のゴムホースの生産は、自動車用ホース、高圧用ホース、その他用ホースの何れもが、前年実績を下回りました。ゴムホース全体の年間生産量(新ゴム量)は当初予測を約6,090トン下回る28,890トンで、前年比15.7%減、出荷金額も前年比13.7%減の1,230億円といずれも前年を大きく下回ることになろうかと存じます。

 次に、昨年の輸出入の状況ですが、輸出は全体の約42%を占めるアジア向けが前年比約25%減、欧米向けも前年を下回り、年間の総輸出額は前年比約25%減の340億円を見込んでおります。輸入につきましては、主力の自動車用ホースを始め各品種とも前年を下回り、年間の総輸入額は、前年比約28%減の115億円の見通しでございます。

 日本の景気は、緩やかながらも回復基調にありますが、先進国を中心とした新型コロナの感染再拡大懸念も重石となり、新型コロナ流行前の水準に戻るには時間が掛かる見通しです。 

 このような情勢下、ゴム業界におきましては、実体経済の動向を見据えながら需要動向へ機敏に対応しつつ、継続的な変革にチャレンジし続ける企業経営が肝要であると考えます。

 本年のゴムホースの生産予測量は前年比11.9%増となる32,340トン、出荷金額は前年比12.2%増の1,380億円になるものと予測致しております。

 品種別には、生産構成比約70%を占める自動車用ホースは、新型コロナの影響による四輪車国内生産台数減少からの立ち直りにより、年間生産量は前年比12.1%増と予測しております。

 構成比約14%の高圧用ホースに関しましては、昨年落ち込んだ土木建設機械・工作機械の需要は本年後半には持ち直し、生産量は昨年比19.1%増との予測を立てております。

 構成比約16%のその他用ホースは、一般汎用ホース(空気、酸素、アセチレン等)、耐油・耐摩耗・ケミカルホースの一般産業分野での需要が安定基調で推移すると見ており、年間生産量は前年比6.0%増と予測しております。

 以上の如く、本年のゴムホースの生産量は、昨年を上回るレベルで推移するものと予測しております。

 次に本年の輸出入について申し上げますと、輸出が360億円、輸入が130億円と、いずれも前年を上回るものと予測致しております。

 このような厳しい業界動向の中で、当工業会は、国際化の進展に伴い、平成12年にISO機関の   ホース部門(TC45/SC1)で正式メンバー(Pメンバー)となり、日本の実状や考え方をISOに反映させるよう積極的な働きかけを実施して参りました。

 昨年はWeb開催となりました第68回ISO/TC45国際会議に技術委員が参画し、プロジェクトリーダーとして積極的な提案を行うことで成果を上げました。本年も第69回国際会議に参画し、Pメンバーとしての更なる活動を推進して参る所存であります。

 何かと不透明感が払拭されない変化の激しい環境下ではございますが、当工業会と致しましては、様々な産業分野における重要な機能部品であるゴムホースを供給することを通じて社会的責任を果たすとともに、社会に貢献する価値の創造を積極的に努めて参る所存でございます。

 末筆ながら、本年が皆様にとって飛躍の年になりますことを祈念し、新年のご挨拶とさせていただきます。

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー