景況アンケート 2021年の景況見通しと業績予想 減収企業が大幅増加 国内・外需の不振響く 【紙面5面掲載】

2021年01月01日

ゴムタイムス社

【1面から続く】
 ◆20年度の業績(売上)
 20年度の売上高に関する設問は、【図6】の通り、「増収」がゼロ、「横ばい」が11・4%、「減収」が88・6%という結果になった。
 前年の調査では「増収」が22・4%、「横ばい」が44・8%、「減収」が32・8%と比べると、今回は前年に比べ増収企業が22ポイント減る一方、減収企業が56ポイント増加する結果となった。
 ◆20年度の業績(利益)
 経常利益については【図7】の回答結果となり、「増益」が4・8%、「横ばい」が19・0%、「減益」が76・2%だった。
 前年の調査では「増益」が16・7%、「横ばい」が50・0%、「減益」が33・3%で、今回は増益企業が減少し、減益企業が大幅に増加する結果となっている。
 ◆増収の要因について
「増収」企業に要因を尋ねたところ、【図8】のように、「内需の回復」、「輸出の増加」、「新規事業・製品が貢献」が33・3%と並ぶ結果となった。その他の回答はゼロであった。
 「新規事業・製品が貢献」が前年の調査に続き1位に並び、景況が冷え込む中でも新たな事業展開に成功した企業が売り上げを伸ばしたことがうかがえる。
 ◆減収の要因について
「減収」企業の要因は、【図9】の通り、「内需の不振」が63・3%で最多となり、これに「輸出の不振」が15・0%、「その他」が10・0%と続いた。
 昨年と同様に増収・減収ともに要因の1位として挙げられた「内需」は、前年から17ポイント伸長した。内需が業績を左右する傾向がより強まっている模様だ。
 ◆20年下期の好調分野
 昨年7月以降に好調だった需要分野については、【図10】のように、「医療・衛生」が21・7%で首位となり、以下、「自動車」が19・6%、「半導体」が17・4%、「土木建築」15・2%、「建設機械」6・5%と続いた。
 前年調査で3位だった「医療・衛生」が1位となり、コロナ感染拡大による関連用品の需要増が伺える結果となった。一方、長らく首位が続いた「自動車」は、コロナ感染再拡大による先行き不透明感からか、2位に順位を落とした。また、昨年は同率首位であった土木建築が5位となった。コロナ影響で住宅着工の遅れなどが発生している。その影響が結果に反映されたと言える。
 ◆雇用者数の過不足感
 20年度の雇用者数の過不足感を尋ねると、【図11】の通り、「不足」が22・2%、「適正」が68・9%、「過剰」が8・9%となった。
 前年の調査では、「不足」が半数近くを占めていたが今回は約2割まで下がった。
 しかしながら、財務省が公表した法人企業景気予測調査の雇用の項目では、昨年12月時点での製造業の現状判断は大企業、中堅企業、中小企業のいずれにおいても人手不足感が前年より強まっていることが示され、雇用者が充足されたというよりも、コロナウイルス感染症の影響による景気停滞や操業のペースダウンなどが背景となっているものと考えられる。

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