東洋ゴムが開発 低燃費タイヤ新ブランド「ナノエナジー」

2011年12月02日

ゴムタイムス社

  東洋ゴム工業㈱は12月1日、東京・江東区の有明ワシントンホテルでタイヤ新商品・新技術発表会を開催した。
 自動車産業においてハイブリッドカーやEV車など環境適合車の市場が拡大し、タイヤも低燃費タイヤの需要が増大している。同社はタイヤラベリング制度において転がり抵抗性能「AAA」、ウェットグリップ性能「c」のタイヤを昨年上市、さらに性能向上の開発に取り組んできたが、独自のナノ技術を駆使して「AAA」でグリップ性能「b」を達成したタイヤの開発に成功した。
 同社の中倉健二社長は発表会の席上「ナノレベルでの領域でゴム材料を制御する独自の技術を確立、新たな環境性能を持つ低燃費タイヤを発売する。付加価値をいかに創造するかは企業の存在価値でもあり、技術と機動力を強みに存在感ある企業として発展を目指す」などと語った。
 同社はこの新タイヤをクリーンエネルギーの世界観をイメージし、新ブランド「ナノエナジー」として日本はもとより、来年秋に低燃費タイヤ使用を義務付けるラベリング制度がスタートする欧州など、順次世界市場で販売展開する。
 日本市場では、タイヤ環境性能「AAA―b」グレード品の「ナノエナジー1」(1サイズ)を2月に発売する。同グレードのタイヤの発売は日本初となる。また、ハイブリッド車の多様化に対応し、幅広いサイズラインアップを取り揃え、快適性を付加した「AAA―c」グレードタイヤを「ナノエナジー2」として市場展開する。
 今回のタイヤ開発の基盤となったのはナノレベルでゴム材料開発を制御する「ナノバランステクノロジー」の体系化が貢献した。これは、ゴム材料の分析、解析、素材設計、加工の4体系を横断的に統合した独自のタイヤ技術基盤。
 「ナノエナジー」の開発においては、ナノ分析による観察、ナノ解析における検証、さらにナノ素材設計における機能構造構築を経たうえで、最終的に温度制御によりゴム材料においてシリカ分散と凝集で発生するエネルギーロスの制御を図るナノ加工手法を確立した。これにより、ゴム材料面から転がり抵抗の低減を実現し、その他の構造的改善を組み合わせることでタイヤ環境性能の高度化を実現した。

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