■ 新年インタビュー
さまざまな事業を強化し開始する年に
日本ゼオン 田中公章社長
エラストマー事業は自動車産業の影響を受けたものの、高機能材料事業の四半期決算は過去最高益を達成した日本ゼオン。田中公章社長に現況をはじめ、新型コロナによる影響、課題など聞いた。
◆20年を振り返って。
20年は19年から引き続き米中の貿易摩擦や世界経済の低迷が続いていることに加え、新型コロナウイルスの影響を受けた。自動車産業は特に厳しい環境だった。合成ゴムを中心とするエラストマー事業は前年を大幅に下回った。夏以降需要が回復しているものの、依然弱含みで市況回復の足取りは重い。一方、高機能材料事業は自動車産業の影響を受けていたが、四半期決算は過去最高益を達成し、光学フィルムは前年を上回った。
見通しについては、21年は19年並の需要になるのではないか。ただ、楽観視せずに差別化要因を盛り込み製品開発を進めていく。
◆中計の進捗状況は。
20年度で最終年度を迎える中計「SZー20」は、売上高5000億円を計画していたが、未達になるだろう。21年から始まる新中計に引き継いでいく。ただ、社内の風土改革は従業員の意識が高まり進んだ。現在は、新中計の枠組みを策定中で、活発な議論をしている最中だ。
◆投資について。
コロナ禍でも必要な投資は続けていく。具体的にはエラストマー素材では、タイのアクリルゴム製造工場が21年4月に販売を開始する予定。水島工場のシクロオレフィンポリマー(COP)樹脂の能力増強は21年7月に完工を計画し、COPは今後期待できる素材のひとつとなっている。
◆新型コロナの影響による事業変化について。
新型コロナの影響により、①将来の事業性②働き方の有効性と効率性③コミュニケーションのあり方④DX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組み⑤社会的課題への対応の5項目が明確になった。
将来の事業性はコロナ禍においても、高機能材料が過去最高益を達成したことで事業の方向性が明確になった。エラストマー事業では、当社は汎用ゴムと特殊ゴムを展開しているが、特徴あるエラストマーが求められることが顕著になってきた。