年頭所感 日本自動車タイヤ協会 東正浩会長

2021年01月01日

ゴムタイムス社
東正浩会長

東正浩会長

 2021 年の年頭に当たり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の影響を大きく受けた激動の年でした。まず、この感染症によって亡くなった方々のご冥福をお祈りするとともに、ご親族の皆様へお悔やみを申し上げます。また、人々の生活を守るために昼夜問わず尽力されている医療、介護関係者をはじめとする皆様に深く感謝を申し上げます。

 新型コロナウイルス対策のため、ヒトとモノの移動が世界規模で制限され、サービスも対面に加え、オンラインが身近になる等、私たちの生活は様変わりしました。治療薬やワクチンの開発・普及が進んでおりますが、感染対策と社会経済活動の両立が実現され、本年が新型コロナウイルス感染症終息の年となることを強く期待しています。

 一方で経済活動のボーダレス化は、コロナ禍での停滞はあるものの、中?期的には着実に深化し、それを推し進める枠組みもまた進展しています。環太平洋パートナーシップ(TPP)、日EU 経済連携協定(EPA)、日米貿易協定に続き、昨年11 月には東アジア地域包括的経済連携協定(RCEP)に参加15 カ国が署名しました。今後各国が批准し発効となりますが、発効すれば世界人口の約3 割をカバーする広大な経済圏が誕生します。アメリカでの新政権、英国のEU 離脱等をはじめ、政治面でも変化が多いですが、経済とその基盤となる市場に関しては、今後も統合という大きな流れに沿って動いていくことを強く期待しています。

 経済活動のボーダレス化は、ヒトとモノの動きを飛躍的に増大させます。このような動きと相俟って、人は「モビリティ」を求めます。これは人の根源的な欲求と言うことができるでしょう。自動車はモビリティの主役であり、自動車タイヤは、自動車によって提供されるモビリティを支える最も重要な商品の一つです。自動車は「CASE」と呼ばれる大きな変革に直面し、また、世界各国で化石燃料車規制の動きも加速していますが、急激に変化する環境の中で自動車がどのように進化していっても、タイヤは依然としてモビリティを支える最重要な商品の一つとしてあり続けます。

 このような位置付けにあるタイヤにとって、求められる最も重要な性能は「安全」、そして「環境」です。自動車を利用する人々の生命を守り、同時にタイヤの製造・利用・リサイクルの過程で生じる環境負荷を極小化する。この二つの価値を高い次元で達成し得るタイヤの提供を通してグローバルなモビリティの向上に貢献する。自動車タイヤという商品をグローバルに提供する我々は、この実現を目指して着実に事業活動を進めていきます。

 本年も厳しい環境が予想されます。そうした中で取り組むべき課題は少なくありません。課題の解決に向け、奇をてらうことなく、これからも一歩一歩着実に歩みを進めていきます。関係する皆様方の変わらぬご支援、ご鞭撻を、本年も宜しくお願い申し上げます。最後に、タイヤ産業に関わる全ての皆様方にとって本年が実り多き年となりますことを祈念し、私の新年のご挨拶とさせていただきます。

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー