謹んで新春のお慶びを申しあげますとともに、旧年中に賜りましたご厚誼に対し心より御礼申しあげます。
令和3年の年頭にあたり、一言ご挨拶申しあげます。
昨年度は中国・武漢市に端を発した新型コロナウイルスが世界に蔓延し景気衰退の要因となりました。コロナはここ数年で築き上げたサプライチェーンを直撃し地球規模で経済が停滞しました。日本国内でも感染拡大による自粛生活により社会・経済活動が大きく阻害され、東京オリンピック・パラリンピックなど各種イベントや展示会も延期、中止になりました。
その結果、令和2年度の国内生産量は、ゴムベルト全体で1万9434t(前年比79%)、内需は1万5457t(同79%)、輸出は3976t(同79%)の見込みです。新型コロナウイルスの影響を受けコンベヤベルト、伝動ベルトともに内需、輸出向け関係なく大幅に前年割れです。
コロナの収束が見通せませんが、令和3年度のゴムベルト生産量予測は、1万9668t(前年見込比101%)としました。コロナ前令和1年比では80%と本格的回復はまだ先の見通しです。その内訳は、内需が1万6262t(同105%)、輸出が3406t(同86%)です。
コンベヤベルトの内需、伝動ベルトの内需・輸出は自動車産業の回復とそれを受けての鉄鋼メーカーの高炉再稼働により回復の見込みです。コンベヤベルトの輸出は鉱山の稼働減が継続する見込みで回復しません。
コンベヤベルトの令和2年度の生産量は1万0020t(前年比74%)の見込みです。その内訳は、内需が7379t(同74%)、輸出が2642t(同73%)です。内需は主力需要先の鉄鋼メーカーの高炉一時休止、輸出は鉱山の稼働減や停止の影響を受けました。
令和3年度の需要予測は、9470t(前年見込比95%)としました。その内訳は、内需が7428t(同101%)、輸出は2042t(同77%)の見込みです。内需は鉄鋼メーカーの高炉再稼働により7月より前年見込比100%を超える見込みです。輸出は鉱山の稼働減が継続し前年割れの見込みです。
伝動ベルトの令和2年度の生産量は9413t(前年比86%)の見込みです。その内訳は、内需が8079t(同85%)、輸出が1334t(同93%)です。主力需要先である自動車メーカーの工場稼働停止や輸出需要の低迷の影響を受けました。
令和3年度の需要予測は1万0198t(前年見込比108%)としました。
その内訳は、内需が8843t(同109%)、輸出が1365t(同102%)です。自動車産業の回復を受けて4月以降内需、輸出共に前年比100%超の見込みです。
樹脂ベルトの令和2年度生産量は約101万㎡(前年比84%)の見込みです。
その内訳は、内需が約95万㎡(同83%)、輸出が約6・3万㎡(同99%)です。好調な分野もありましたが、コロナによる全般的な影響をカバーしきれませんでした。食品分野は外食やお土産向けはコロナの影響で苦戦するも、コンビニやスーパーを中心とした中食向けは比較的好調でした。ネット通販の活況や個包装の拡がりにより大型物流倉庫新設等物流分野は好調を持続し、また、段ボール需要が増加し、包装、紙工向けも好調でした。
コロナの収束が見通せませんが、令和3年度の需要予測は、約106万㎡(前年見込比105%)と100万㎡の大台は確保できる見通しです。コロナ前令和1年比では88%と本格的回復はまだ先の見通しです。その内訳は内需が約99万㎡(同105%)、輸出が約6・9万㎡(同110%)です。4月より100%超の見込みです。物流分野、包装・紙工分野は好調を維持し、食品分野は2020年6月に施行された改正食品衛生法で導入されたポジティブリストが追い風と考えています。
ワクチンが実用段階に入ってきたとはいえ、今後もしばらくコロナ対策と経済活動の両立は簡単には進まないと考えています。加えて、米国の政権交代と中国のより一層の台頭は先を見通しにくくなっています。ウィズコロナの下で新しい生活様式が提唱され広まっていく中で、働き方改革や環境問題を含む社会構造のより大きな変革が予想されますが、AI(人工知能)活用、5G(第5世代移動通信システム)の普及により新たな市場の創出も期待出来ます。
このような環境下、当日本ベルト工業会では、経済政策や需要先動向等を的確に把握しタイムリーなデータサービスを行う一方、ISO TC41のメンバーとして日本の考え方をISOに反映させ日本規格の国際化を推進する等、尚一層のベルト業界発展のため貢献してまいります。
内外ともにこの1年が良い年となり、皆様がますますご発展されますことを心から祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。