住友理工は12月22日、トヨタ自動車から9日に発売されたFCV(燃料電池自動車)新型「MIRAI」に、同社の「セル用ガスケット」が継続採用されたと発表した。
同製品はFC(燃料電池)スタック向けのゴム製シール部材で、2014年に発売された初代モデル向けの従来品から品質や性能を向上させつつ、量産性を大幅に改善しており、より安全で快適なFCVの提供に貢献している。
FCVは、FCスタック内に水素と空気中の酸素を取り込み、化学反応を起こして作った電気を動力源として走行、地球温暖化の一因となる温室効果ガスの二酸化炭素を放出せず、水のみを排出して環境にやさしいことから、「究極のエコカー」とも呼ばれている。
今回採用されたのは、セパレータと呼ばれる板状の部材や発電部材などからなるセルの構成部品のうち、水素と酸素、そして水の漏れを防ぐゴム製シール部材「セル用ガスケット」で、FCスタックはセル330枚が積層された構造になっており、これら1枚1枚に同製品が搭載されている。
また、セル用ガスケットは氷点下から100度C以上の広い温度領域において高いシール性を発揮し、FCVの長期安全性、高効率な発電性能に貢献している。
継続採用にあたって同社は、コアコンピタンス「高分子材料技術」により、新材料を創出するとともに、初代モデル開発で培ったシール設計技術および評価技術を駆使し、より高品質かつ高耐久な製品を開発した。さらに材料開発を通じて製法を刷新し、高速成型を可能にするなど、製造プロセスの大幅な短縮を実現した。
自動車産業で「CASE」と呼ばれる新たなトレンドが台頭する中、政府は2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の政策を打ち出しており、電動化「E」の流れはますます加速することが予測される。「人・社会・地球の安全・快適・環境に貢献する企業」を目指すべき企業像に掲げる同社グループは、FCVの基幹部品であるFCスタックの構成部材を担うことで、よりクリーンで持続可能な社会、そして快適なモビリティライフの実現に寄与していくとしている。