【新年インタビュー】東拓工業 豊田耕三社長

2021年01月05日

ゴムタイムス社

 

豊田耕三社長

豊田耕三社長

■ 新年インタビュー

新規事業の立ち上げを加速する

東拓工業 豊田耕三社長


 
 「収益基盤の改革と企業風土の変革」をテーマに掲げた5ヵ年の中計が20年度に最終年を迎える東拓工業。足元の業績や21年度よりスタートする5ヵ年の新中計の骨子について豊田耕三社長に尋ねた。

 ◆20年を振り返って。
 
 コロナで始まりコロナで終わった1年だったように思う。業務活動はコロナ感染予防対策を行いながら粛々と行った。例年、当社は数多くの展示会へ出展しているが、今年は7月に大阪で開催された「第6回無電柱化推進展」のみ出展した。コロナ禍で外部に向けた活動が思ったようにできず残念な気持ちだ。

 ◆足元の業績は。
 20年度上半期(4~9月)の全社売上は微増で進捗している。当社は工業用ホース、土木・電設資材のパイプ、橋梁関連資材などを市場に供給している。20年度上半期は土木資材分野の売上は2桁増、電設資材分野は1桁台の増加と好調だ。土木関連ではコロナ禍でも現場作業は動いており、これら現場で使われるパイプが好調。台風や豪雨など災害復旧・復興対策用の製品も順調だ。電設関連では大規模太陽光発電や風力発電向けの再生エネルギー関連の引き合いも堅調である。
 無電柱化工事向けは、角型多条敷設管(角型難燃FEP)「角型TACレックス」などの製品が設計採用されるようになり、工事実績も着実に増えている。さらに、インフラ関連のスポット商品も当社にとってフォローの風が吹いており、引き続き期待できる環境にある。
 一方、工業用は2桁に近い減収となっている。半導体関連向けのダクトホースの受注環境は悪くないが、コロナによる収益悪化で設備投資を控えるユーザーが多く、一般汎用品の需要は落ちている。

 ◆コロナ対策について。
 
 大阪本社や東京支社などの各営業所は目標出社比率を5割に設定し、在宅勤務を交代で続けているほか、営業員も直行直帰をおこなっている。緊急事態宣言中の出張は禁止していたが、現在は状況に応じて認めている。
 また、関西りんくうや関東おやま、九州、沖縄の工場は外部からの訪問者を制限していたものの、現在は訪問者に検温などを行った上で、事務所で打合せができる体制にした。

 ◆現中計の評価は。
 
 現中計は20年度に最終年度を迎えるが、既存事業(工業用ホース、土木・電設資材、橋梁関連資材)は概ね満足できる環境にある。ただ、当社が狙っていた新しい事業、新しい製品が思ったように進まなかった。この点が現中計の一番の反省点になる。

 ◆新中計の骨子を。
 
 現在策定している5ヵ年計画の新中計は、新規事業の立ち上げが一番の柱。数字上で柱にならなくても、会社として新しいことに取り組める体制になりたい。その一環として若手中堅から社員を選抜し、新規事業の中核を担う組織を作る方向で進めている。

 ◆21年の見通しを。

 多少の上げ下げはあると思うが、既存事業が大きく伸びるとは見ていない。工業用ホースはコロナ前の状況に戻るのは難しいのではないか。ただ、土木の災害対策事業や無電柱化工事関連の案件は期待できる。厳しい環境下でも成長したいと考えている。

■アングル■
 「常に変革を起こせる組織にしたい」と21年の抱負を語る豊田社長。これまで難しいと思っていた仕事のやり方や働き方もコロナ禍でできるようになったとし、受発注業務も在宅でできる体制に。新中計でも「常に変革を起こす」マインドを社員に植え付けたいと強調する。

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