蜷川広一会長
２０２１年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
２０２０年は全世界が新型コロナウイルスの感染拡大で未曽有の打撃を被りました。各国で人の移動や外出が制限され、経済活動は一気に停滞しました。７月22日から８月９日の日程で開催を予定されていた東京オリンピック・パラリンピックも近代オリンピック史上初の延期となりました。
今回の新型コロナウイルスの感染拡大に端を発する景気の落ち込みは、これまでにない大きなもので、２００８年９月のリーマンショックの落ち込み幅を上回る、まさに戦後最悪の落ち込みとなりました。
内閣府が12月８日に発表した２０２０年７～９月期の国内総生産（ＧＤＰ）の改定値は、物価変動を除く実質で前期比５・３％増、このペースが１年間続くと仮定した年率換算は22・９％増となりました。新型コロナウイルス感染拡大で停滞していた経済活動の再開がすすみ、４四半期ぶりにプラス成長に転じています。伸び率は現行基準で比較可能な１９８０年以降で最も高くなっていますが、戦後最悪の年率28・８％減だった４～６月期の落ち込みを補うには至っておりません。足元では感染「第３波」が広がり、今後の回復にブレーキがかかる懸念もございます。
大手需要先である建設機械（本体合計）は、１～10月累計で国内が前年同期比６％減、輸出が同32・７％減、合計が同22・５％減でした。直近の10月は、国内が19・６％増と７カ月振りの増加、輸出は15％減で15カ月連続の減少、合計では０・４％減で13カ月連続の前年同月比マイナスとなりました。メインの油圧ショベルですが、10月は国内向けが前年同月比24・５％増となり１～10月累計では同０・４％増となりました。輸出は同17・４％減で１～10月累計は同38・９％減でした。
工作機械の10月受注額は前年同月比６％減で25カ月連続マイナスとなりましたが、金属製品向けが前年同月比24・５％増、電気機械向けが同17・８％、その他製造業向けが28％増と少し明るさが見えてきております。１～10月累計では前年同期比32・５％減ですので回復基調に向かっているようです。
さて、当工業会の需給状況ですが、上記のような影響を受け、２０２０年１～10月の出荷実績は４５１・２億円（前年同期比81％）となっております。内訳は産業用ゴムホースが３４４・７億円（前年同期比82％）、自動車用ゴムホースが30・６億円（同75％）、樹脂ホースは50・５億円（同80％）、付属金具は25・４億円（同81％）でした。
２０２１年ですが、新型コロナワクチンの開発や接種がどの程度まで進むかを予想することは困難ですが、少なくとも爆発的な感染拡大は回避できると思われております。ウィズコロナからアフターコロナの時代に徐々に移行することが期待されます。延期されていた東京オリンピックも７月23日から８月８日までの１７日間に開催される見込みですし、それにより消失していたインバウンド需要が急速に持ち直すのではないかと期待されることも、景気にとってプラスの要因となっております。今年度は、コロナ禍を克服し、再生の良い年になることを祈念しております。
当工業会の２０２０年度の事業活動ですが、昨年４月以降の工業会行事はコロナ感染拡大で全て中止にさせていただきました。
ＩＳＯ／ＴＣ45（液圧用ゴムホース及びプラスチックホース）関連では、昨年10月にタイ・バンコックで開催予定の国際会議は中止となり本年10月に奈良で開催予定となりました。国内審議会は昨年６月からＷｅｂ会議で再開され、３回の会議が開催されました。
ＩＳＯ／ＴＣ１３１（油圧・空気圧システム及び要素機器）関連では、昨年度の国際会議は見送られ、本年４月に東京で開催予定となっておりましたが、10月に姫路での開催に変更される予定です。国内審議会は昨年９月からＷｅｂ会議で再開され、２回の会議が開催されました。
１９９４年に改正して以来見直しをしていなかった団体規格ＪＨＣＡ―ＳＴＤ―５―１９９４（液圧用ホースアセンブリ用語）の見直しをワーキングチームで行いました。コロナ禍で会議が開催出来ない中、ワーキングチームメンバーの皆様の頑張りに依り９月末に完了することができましたことは何よりの喜びでございます。
本年は、ＴＣ４５、ＴＣ１３１ともに国際会議が開催予定ですので参画し、日本の考え方をＩＳＯに反映させて日本規格の国際化を推進する活動を更に進めて参ります。
当工業会では、これからも会員相互の発展を促進する為、技術の向上並びに普及を図り、公共の安全を確保すると共に、関連業界の発展のために努力して参ります。
年頭に当たり、業界の益々のご繁栄と皆様方のご健勝を祈念申し上げますとともに、倍旧のご支援を賜りますようお願い申し上げまして、新年のご挨拶とさせて頂きます。
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