三菱ケミカルは12月25日、熱可塑性樹脂を用いた炭素繊維複合材料(CFRTP)のパイロット設備を新設することを発表した。福井県内に設置し、2021年中に稼働を開始する予定。
航空機や自動車などのモビリティ用途では、環境規制等を背景に機体/車体の軽量化要求が高まっており、軽さと強度を兼ね備える炭素繊維複合材料(CFRP)の利用が進むと見込まれている。一方で、CFRPの利用促進のためには、これまで主に利用されている「熱硬化性樹脂」を用いたCFRPに対し、部品製造に要する時間を短縮できリサイクルも容易な、CFRTPの普及が求められている。
CFRPで多くの採用実績があり、炭素繊維と樹脂改質に関する技術を豊富に有する同社は、福井県工業技術センターの支援と同社グループ内の技術シナジーにより、今回、空隙が少なく極めて高品質なCFRTPを高効率に製造できる技術を確立し、パイロット設備の設置に至った。今後、これまで輸入品が中心であった国内のCFRTP市場に対し、同社の熱可塑性樹脂複合材料のブランドである「Kyron」シリーズの新製品として、提案を進めていく。
同社はPAN系及びピッチ系炭素繊維、また汎用から高耐熱性の熱可塑性樹脂に関する世界トップクラスの技術を有している。これらグループの総合力を生かし、同社はますます多様化・高度化する顧客の要望に応える新製品の開発を進め、技術革新の著しいモビリティ分野に対して最適なソリューションをタイムリーに提供することで、積極的に事業を展開していくとしている。