年頭訓示 TOYO TIRE 清水隆史社長

2021年01月06日

ゴムタイムス社
清水隆史社長

清水隆史社長

 誰もが健康リスクと隣り合わせであるウィズ・コロナ期間がどこまで続くのか予断を許さないが、以前とは変容したこの時代をいかに生き抜くか、真の底力が試されている。
 
 変化の著しい中にあっても、それにも耐えうる存在感を蓄えていくこと。変化の狭間に新しいチャンスを見つけ、それを掴みとっていくこと。また、変化を見極め、変化そのものを自らの中に採り込んで進化していくこと。この3つがTOYO TIREのあるべき生き方である。
 
 昨年、コロナの打撃を受けながらも下期に盛り返しを図ることができたのは、投資計画の再精査、不要不急の経費抑制などを進めた一方、差別化された高付加価値商品を重点商品として明確化し、各マーケットの情勢をつぶさに見極めながらポテンシャルのある市場に売るべき商品を集中投下するなど、自らの技術力、生産力、販売力といったリソースをフルに生かし、緻密な検討と戦略的な展開を実行したことによる。過去から培ってきた強みをさらに磨き、しっかり存在感を蓄えていかねばならない。
 
 人の越境、ものの行き来が制限されたことで市場が収縮し、購買活動が激減した昨年の春先、当社は生産計画と需要の動きをきめ細やかに見ながら、次の回復期に備え、市場での在庫レベルを健全適正な状態にすべく、積極的な圧縮を図った。これにより、反転攻勢に出るタイミングでは、スリムな体格で瞬発力の高い販売活動に注力することができた。すべてが揃ったオールラウンドプレイヤーではない当社は、持たざる強みを生かし、機動力を持って変化をとらえ、新しいチャンスをものにすることが持ち味であり、強さにもなると確信している。
 
 コロナ禍は、デジタル活用、新しい働き方、サステナビリティといった今後、会社が向き合っていくべき重要テーマに光りを当てた。当社は昨年、それらに取り組むための準備に心血を注いできた。

 デジタルを駆使し、働くインフラ基盤として整えることはもちろん、デジタル技術を戦略的に経営の武器として採り込み、経営革新としてこれを推し進めていく。また、一人ひとりが成長、活躍し、多様な経験、能力、知識で切磋琢磨し合う文化をつくるため、新しい仕事の進め方、人財育成・評価の仕方を丁寧に組み立て、企業力に変えていく。会社が将来にわたって事業経営を続けていくうえで備えて然るべき要件であり、存在意義にさえ直結するサステナビリティも追求していかねばならない。こうした時代の要請や変化をしっかり全社員が受け止め、会社のカタチを変革していこう。
 
 2017年に制定した理念は会社の支柱であり、常に立ち返る経営の原点だ。そうした精神的な基盤づくり、事業の選択と集中も経て、ここまで不断の改革を重ねてきた。そして、ようやく心身を整え、スターティングポイントに立てるところまで来た。本年は2025年を見据えた新たな中期経営計画の起点である。2021年を「新しいステージへシフトする年」と位置づけ、一人ひとりがそうした意識をしっかり気高く持ち、力強く、歩みを進めていこう。

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