需要回復も全社減収に 原料メーカー11社の4~12月期

2021年02月24日

ゴムタイムス社

 合成ゴム・化学メーカー11社の21年3月期第3四半期決算(クラレは20年12月期)から、合成ゴム・エラストマー関連部門の現況をまとめた。第3四半期の原料需要は回復基調にあるものの、コロナに伴う上半期までの市況低迷が響いて、11社全てが減収となった。
 ◆JSR
 エラストマー事業は新型コロナウイルスの影響により、グローバルな自動車タイヤ生産の動向に左右され、減収減益となった。ただし第2四半期以降は急回復が進み、第3四半期は前年のレベルまで戻った。SSBRの需要も大幅に改善している。
 ◆日本ゼオン
 合成ゴム関連では、主要市場である自動車産業向けを中心に需要は回復傾向にあったが、前四半期までの落ち込みをカバーするには至らず、売上高、営業利益ともに前年同期間を下回った。
 ◆三井化学
 エラストマー、機能性コンパウンド、海外ポリプロピレン・コンパウンド及びソリューション事業は、コロナの影響により、販売が減少した。
 ◆住友化学
 コロナの影響に伴う経済活動の落ち込みにより、自動車関連用途を中心に合成樹脂などの出荷が減少した。また原料価格の下落に伴い、石油化学品などの市況が低水準で推移した。

 ◆旭化成
 パフォーマンスプロダクツ事業は、ナフサなどの原料価格下落による交易条件が改善される一方、自動車向け各製品における販売数量減少や衣料向け繊維製品における販売数量減少の影響で減益となった。
 ◆宇部興産
 合成ゴム事業は製品市況が下落したことに加え、タイヤ用途を中心に国内での出荷が大幅に減少したことから減収減益だった。ただし、合成ゴムの数量は第2四半期から第3四半期にかけて改善し、第4四半期も第3四半期と同様に堅調に推移すると見通し。ブタジエン価格が下がる中で、第4四半期は第3四半期で値上げした原料価格を反映できる部分があり、スプレッドは第3四半期に比べ拡大できる期待がある。
 ◆デンカ
 クロロプレンゴムの販売は、足元では回復傾向に転じてきたが、コロナなどによる世界経済低迷の影響を大きく受け、自動車産業を中心に全般的に生産活動が停滞したことから前年を下回った。スチレンモノマーやデンカシンガポール社のポリスチレン樹脂およびMS樹脂の販売は、原材料価格の下落に応じた販売価格の見直しを行ったことから減収となった。
 ◆東ソー
 クロロプレンゴム(CR)は第3四半期に入り数量が増えている。経済活動の再開を受け、自動車産業を始め、各種産業資材用の需要も回復。地域ではインドへの輸出が非常に好調なことに加え、各種工業用ゴム部品や接着剤などの用途も伸びている。
 ◆クラレ
 熱可塑性エラストマー「セプトン」は、主に中国、アジアにおいて需要低迷の影響を受けたが、第4四半期より回復基調となった。耐熱性ポリアミド樹脂「ジェネスタ」は、電気・電子デバイス向けが好調に推移した。
 ◆信越化学工業
 シリコーンは、汎用製品の価格下落に加え、化粧品向けや車載向けの需要鈍化の影響を受けたが、秋口から顧客需要が復調し始めた。
 ◆ダイキン工業
 フッ素ゴムは、自動車関連分野の需要は回復しているものの、国内・欧州・アジアでの需要の落ち込み影響が大きく、売上高は前年同期を下回る結果となった。

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