ゴムプレス金型の構造選びとその注意点

2021年01月30日

ゴムタイムス社

*この記事はゴム・プラスチックの技術専門季刊誌「ポリマーTECH」に掲載されました。
*記事で使用している図・表はPDFで確認できます。

特集1 ゴム金型の最新動向と製造・技術の留意点

ゴムプレス金型の構造選びとその注意点

ゴム技術コンサルタント 大坪一夫

1.はじめに
 ゴム製品形状は用途により多岐にわたっているため、成形性に最適な金型構造を選ぶのには経験が必要である。しかも成形するゴム材料特性にも適合するような金型構造を選ぶとなると、成形技術の巧拙によってさらに選ぶ条件が難しくなる。そして経験した金型構造選びの知見は必ずしも普遍性を持っているわけではなく、必然的に自社の生産技術力、生産設備能力に合った金型構造を採らざるを得なくなる。
 しかし、より良い金型構造を選ぶためには、新しい情報や知識を知る努力をし、それらを試してみる必要がある。さまざまな成形条件下では、一度で成功することは稀であり、試行錯誤を繰り返し行うことにより最適な金型構造を得ることができる。
 ゴム技術者は、ゴム成形に関するあらゆることに精通しなければならないとまでは言わないが、あらゆることに好奇心を持って臨まなくてはならない。
 ゴム成形では、大きさが小さい1個取りの金型ではまず間違いなく成形不良を起こさない。もしここで成形不良を起こすようでは、成形技術云々以前の問題である。だが取り数が4個取り、9個取り、16個取りと増えるにつれて成形不良が起こる機会が増えてくる。この原因は、ゴム材料の特性に対して、仕込み材料の作り方と金型構造が不適合になって起きるものである。これらを精査し、その原因を特定して、対策を講じるのがゴム技術者の責務であり、成形技術向上の一歩となる。ここでは、ゴムプレス金型の構造と選定の仕方を述べるとともに、その注意点を紹介していく。
2.金型構造を決めるときの条件
 ゴム製品が最適な状態で成形されるためには、製品形状にあった金型構造を採らなければならない。しかし同時にゴム材料特性の出来映え、成形技術の巧拙と成形機の性能などの条件も考慮されなくてはならない。すなわち成形作業時の金型操作性が良いことに尽きるが、これは単純な2枚型で成形機取り付け金型には効果的だが、すべての金型構造に適用できるわけではない。
 金型構造の主な種類を挙げるが、呼び名は必ずしも統一されたものではない。金型構造の種類は、2枚型、バリ規制型、押し込み型、喰い切り型、3枚型、インロー型、中子型、注入型(圧入型)などある。またそれぞれの金型構造を適宜組み合わせた派生的な金型がある。
 金型構造を決めるときの条件にはいくつかあるが、どの条件を優

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