生産性向上をめざすゴム金型技術

2021年02月02日

ゴムタイムス社

*この記事はゴム・プラスチックの技術専門季刊誌「ポリマーTECH」に掲載されました。
*記事で使用している図・表はPDFで確認できます。

特集1 ゴム金型の最新動向と製造・技術の留意点

生産性向上をめざすゴム金型技術

(一社)日本ゴム協会金型研究分科会(元・豊田合成㈱) 上嶋桂二

1.はじめに
 ゴム製品の多くは金型を用いて成形されており、金型は製品の品質・コストに大きな影響を与える、ものづくりの重要なツールである。
 高品質・低コスト・短工期をめざす効率的な製品づくりに向けて、安い投資費用と少ないロスのもとで、そして速いスピードで生産を行うことが求められる。図1に示すとおり、成形工程では自動化・歩留り向上・ハイサイクルなど様々な課題に取り組む必要があるが、金型は多くの対処に関わっており、金型による課題解決ニーズは高く、また成果への期待も大きいので、生産性向上のための金型技術は大変重要である1)。
 金型の良否が製品づくりに大きく影響を与えることになり、その機能性を極めることがモールダにとって、市場での競合力を高める有効な手段であることはいうまでもない。
 成形法の適確な選択もまた、重要な事案である。金型を用いる成形法は圧縮成形~移送(注入)成形~射出成形へと進展したが、現在も各成形法が、それぞれの特徴を生かしつつ広く併用されていることがゴム成形の特徴でもある。
 圧縮成形でしか造れないゴム製品もあるが、そうでなければ成形法の優劣を比較し適宜選択していくことが可能となる。一般的には自動化やハイサイクルをめざす上で射出成形が優位なことが多く、近年適用対象が増大している。また、移送(注入)成形は多数個取り金型におけるゲートバランスに優れ、充填後の保圧も確かなため、精密小物製品の成形には利点がある。
 なお、材料流動~充填以外のプロセスについては、いずれの成形法においても金型技術としては共通である。

2.ゴム金型の基本機能と要素技術
 一般的な金型(モールド)の役割は図2に示すとおり

全文:約11036文字

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