*この記事はゴム・プラスチックの技術専門季刊誌「ポリマーTECH」に掲載されました。
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シリーズ連載① ポリマーの接着と分析講座
No.3 接着解析のファーストステップ
ジャパン・リサーチ・ラボ代表 奥村治樹
1. 接着因子と評価法
表1は、4つの因子(濡れ性、化学構造・組成、形状、物性)について、それぞれどのような分析手法を用いるかと、特徴等を整理したものである。個々の手法の説明については別項で詳しく解説するので、ここでの詳細な説明は割愛する。
接触角以外の機器分析は、装置の進歩もあり、測定自体は容易になっていることもあって多くの場面で用いられている。しかし、接触角については近年では機器分析に押されて装置すら保有していないケースも見受けられる。しかし、XPS(X線光電子分光法)やTOF-SIMS(飛行時間型二次イオン質量分析法)等が先の階層で言えば最下層の情報を得るものであり、そこからの類推やモデル構築によって上位階層のファクターを予想するものであるのに対して、接触角や熱力学的物性は直接的にそれらのファクターを評価できるという点で重要であると言える。このような意味でも、様々な方法を用いて評価することが重要ということを理解しな
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