三洋貿易(東京都千代田区、新谷正伸社長)のゴム事業部の前期(20年9月期)を振り返ると、国内外で新型コロナウイルスによる市況悪化の影響を受け、売上は対前期比10%程度減少した。特に国内、米国、アセアンでは5月以降9月一杯まで顕著に合成ゴム需要が落ち込んだ一方で、中国は5月以降回復に転じた後、本格的な回復に転じた。また、国内やアセアンも自動車生産が回復に転じた9月ごろから需要は戻りつつある。
今期(21年9月期)の第1四半期(20年10~12月)のゴム原料の荷動きは前々期(19年9月期)並みの水準に戻りつつある。その要因としてゴム事業部小宮康事業部長は「OA機器や家電、医療機器などは回復が鈍いものの、自動車関連のゴム原料の需要が旺盛に推移している」と捉えている。一方、コンテナ不足を主因に貨物船が遅れており、原料の輸出入も遅れが顕在化。「第2四半期は貨物船の遅延を最大課題とし、その対応にしっかり取り組んでいく」(小宮事業部長)考えを示している。
海外拠点の現況は、中国は前期からの好調さが継続しており、今期はさらなる販売増に期待している。また、中国上海でゴム練りを手掛ける