クレハの21年3月期第3四半期連結決算は、売上収益が1056億8500万円で前年同期比0・2%増、営業利益は145億5100万円で同43・5%減、税引前四半期利益は148億6400万円で同42・5%減、親会社の所有者に帰属する四半期利益は117億8100万円で同43・1%減となった。
自動車産業およびシェールオイル・ガス産業を主要な市場とする機能製品事業の販売に回復の兆しがみられ、また、新型コロナウイルス感染症による同社グループの生産・販売体制への影響は軽微であり、前年同期に比べ増収となった。営業利益では、原燃料価格の低減および同感染症に伴う活動経費の縮小により、セグメント営業利益合計は増益となったが、その他の収益において、前年同期に本社別館の土地売却益などの計上があったことにより前年同期比で減益となった。
セグメントのうち、機能製品事業は、売上収益が311億8800万円で同0・8%減、営業利益は19億900万円で同41・4%減。機能樹脂分野では、PPS樹脂およびシェールオイル・ガス掘削用途向けのPGA樹脂加工品は売上げが減少したが、リチウムイオン二次電池用バインダー向けのフッ化ビニリデン樹脂の売上は増加したことから売上は増加した。営業利益はPGA事業の損失増加および、持分法を適用している米国合弁事業の利益の減少などにより減少した。炭素製品分野では、自動車部品用摺動材および高温炉用断熱材向けの炭素繊維の売上が減少し、売上、営業利益ともに減少した。
樹脂製品事業は、売上収益が326億6500万円で同3・9%減、営業利益は65億1700万円で同14・3%増。コンシューマー・グッズ分野では、家庭用ラップ「NEWクレラップ」およびフッ化ビニリデン釣糸「シーガー」の売上げが増加し、売上、営業利益ともに増加した。業務用食品包装材分野では、熱収縮多層フィルム等の売上げが減少し、前年度にブローボトル事業の譲渡を行ったこともあり、売上、営業利益ともに減少した。
通期予想は直近に公表されている予想を修正し、売上収益は1400億円で前期比1・7%減、営業利益は165億円で同8・5%減、税引前利益は170億円で同5・3%減、当期利益は133億円で同3・1%減を見込んでいる。
2021年02月10日