ランクセスは2月19日、成長戦略を加速させるため、米国に本社を置くエメラルド・カラマ・ケミカル社を2月14日付で完全買収することに合意したと発表した。
エメラルド・カラマ・ケミカル社は、コンシューマー向け特殊化学品の世界トップメーカーの一つで、米国の投資会社アメリカン・セキュリティーズLLCの複数の関連会社が株式の過半数を所有している。企業価値は10億7500万米ドル。負債類似項目を差し引いた後の買収額は、約10億4000万米ドルで、ランクセスが現在保有する流動資産から支払うとしている。買収手続きは2021年下半期に完了予定。また、手続き完了には、規制当局の承認が必要となる。
ランクセスのCEOであるマティアス・ツァハト氏は「今回の買収により、私たちの成長戦略の勢いは増すことになるだろう。エメラルド・カラマ・ケミカル社の事業はランクセスにとって理想的なマッチングである。コンシューマープロテクション部門をさらに強化し、例えば食品産業や畜産衛生など収益性の高い新たな応用分野を拡大し、成長地域である北米での存在感を高めていく。これにより、収益性はさらに向上し、安定性が高まる」と述べている。
エメラルド・カラマ・ケミカル社は、米国ワシントン州のカラマ、オランダのロッテルダム、英国のウィッドネスに生産拠点を有し、従業員は約500人、売上は、北米が45%を占める。売上の約75%はコンシューマー向け特殊化学品で、食品保存料、家庭用およびコスメティック用製品、香料、さらには家畜飼料向けの製品も含まれる。残りの売上25%は、プラスチックや接着剤産業向けの工業用特殊化学品となっている。2020年の売上高は、約4億2500万米ドルで、特別項目を除いたEBITDAは、約9000万米ドル。
ランクセスは買収完了後3年以内に、相乗効果によるEBITDAの上積みとして約3000万米ドル(2500万ユーロ*)を見込み、本買収完了後の初年度から、ランクセスの1株当たり利益に寄与すると見ている。
今回の買収により、ランクセスはこれらの分野のポートフォリオ拡大にさらに力を入れるとしている。
※為替レートEURO/USD=1・20で換算。