帝人は2月17日、帝人グループで複合材料製品の生産・販売・技術開発を手がけるベネット・オートモーティブ社が、チェコ国内のミロヴィツェ工場に、生産性、外観性、寸法・品質安定性に優れるGF―SMCの成形設備を新設すると発表した。稼働時期は2022年秋の予定。
同社は、2017年に北米最大の自動車向け複合材料部品メーカーであるCSP社を買収したのをはじめ、2018年にポルトガルのイナパル社、2019年にベネット・オートモーティブ社を買収して自動車向け複合成形材料事業の拠点を構築し、グローバルTier1サプライヤーとして、自動車メーカーからの要求特性に対応すべく、環境負荷低減に向けた取り組みを進めてきた。
その間、欧州2拠点の中間に位置するCSP社のフランスの研究開発拠点にGF―SMC基材工場、イナパル社にはCF-RTMの成形設備を新設するなど、機能の充実を進めてきた。また、ドイツにはテイジン・オートモーティブ・センター・ヨーロッパを設立し、次世代自動車に向けたマルチマテリアルでのソリューション提案力の強化を図っている。
こうした中、ベネット・オートモーティブ社は、ドイツなどの有力自動車メーカーが生産拠点を構える中東欧の中心部に位置するチェコに主要拠点を構え、炭素繊維複合材料(CFRP)の成形技術、および自動車部品の塗装や組み立ての設備などにより、Tier1として自動車メーカーに部品を供給している。今回のGF―SMC成形設備の新設は、同社の欧州における自動車向け複合成形材料事業の拡大を図り、軽量性、強度をはじめ、デザイン、生産性、コスト効率向上といった顧客ニーズへの対応力強化を目指すもので、既に欧米の自動車メーカーから新たな受注を獲得している。
同社グループは、マルチマテリアルでのTier1サプライヤーとして、使用材料の拡充から部品設計にまで踏み込んでのソリューション提案力の強化や、グローバルでの安定供給体制の確立を進めていき、2030年近傍には、自動車向け複合材料製品事業の売上を2000百万米ドル規模へと拡大していくとしている。