注目のゴム関連製品をピックアップVol.4 日精樹脂工業㈱ 「NEX―Ⅴシリーズ」「TWX220R25V」

2021年02月22日

ゴムタイムス社

*この記事はゴム・プラスチックの技術専門季刊誌「ポリマーTECH」に掲載されました。
*記事で使用している図・表はPDFで確認できます。

注目のゴム関連製品をピックアップ
Vol.4 
日精樹脂工業㈱ 「NEX―Ⅴシリーズ」「TWX220R25V」

NEX―Ⅴシリーズ

──電気式射出成形機「NEXシリーズ」の「NEX―Ⅴシリーズ」(以下、NEX―Ⅴ)について。
 小井土 グローバル戦略機としてNEX―ⅤはNISSEIの電気式高性能射出成形機NEXシリーズの最新機種です。1983年、当社は世界で初めて電動式射出成形機を開発しました。それ以来、数々の研究開発を積み重ね、1996年には前身のESシリーズを発表、さらに技術ノウハウを結集して2002年にNEXシリーズに生まれ変わりました。最新機種のNEX―Ⅴは、NEX―Ⅳの技術を継承し、成形工場のIoT化の推進を主眼に開発しました。
 駒村 NEX―Ⅴの大きな特徴を挙げると、IoT技術によりスマート工場を実現する最新コントローラ「TACT5」を搭載したことです。NEX―ⅤはIoT化やデジタル化などの時代のニーズに合わせた機械であり、19年10月にドイツで開催された世界最大規模のプラスチック関連展示会「K2019」(K展)に出展しました。

──TACT5の特長は。
 駒村 欧州では、通信規格を統一していく動きがだいぶ前から始まっており、とくにドイツで数年前に始まったインダストリー4・0の取り組みでEUROMAP(欧州のプラスチックやゴム業界の主要メーカーからなる統括組織)が技術的な推奨規格を策定し普及活動を行っています。そこでTACT5では、OPC―UA(産業用アプリケーションの相互運用を実現するオープンなインタフェース仕様)の標準搭載により、Euromap77(インダストリー4.0に対応したデータ通信を目的として、射出成形機とMES間の通信の規定)とEuromap83(周辺機器の規定)への対応を標準化しました。その結果、MES(製造実行システム)対応をはじめ、周辺機器接続用の通信規格対応を容易とし、成形機をハブとして、取出ロボットや材料供給装置、金型温度調節機等の周辺機器の一元管理ができるようになったのです。
 小井土 NEX―Ⅴは2020年5月から順次量産開始を計画しています。
 駒村 今回K展で出展したNEX―Ⅴでは、成形機と周辺機器などを接続してPRしましたが、欧州では規格の統一が主流となっており、日本国内の機械メーカーは規格の対応が遅かったため、今回の出展を機に全世界で本格的に広めていきたいですね。TACT5を使用することで、成形機を中心として周辺機器全てをコントロールできます。そのため、管理上の負荷が減り、生産性向上に寄与します。実際、K展で当社のブースに来てくださったお客様は、「使い勝手が良くサクサク動く」と驚いていました。

──開発するうえで苦労した点は。
 駒村 NEX―Ⅴでコントローラを一新しているため、ゼロから開発しつつ、今までの技術を継承していかなければいけない点が大変でした。とくに、お客様の使い勝手もNEX―Ⅳよりも向上しながら、最新技術を取り入れることが重要になっていました。

──NEX―Ⅴのこだわりは。
 小井土 当社は油圧ベースのハイブリッド式と電動式の2つの軸でモノづくりを行っています。この2本柱の良さを活かしてNEX―Ⅴに取り入れています。最近、共通しているのが、成形装置のダウンサイジングです。これは、NEX―Ⅴの特長のひとつである「大きな金型、小さな成形機」にも表れています。まずは、「大きな金型」の意味は、NEX―Ⅴが大型化している金型やホットランナ金型、長尺成形品の金型などにもフレキシブルに対応していることを意味しています。
 駒村 「小さな成形機」の意味については、最近、特に日本では工場の敷地に合わせ、少ないスペースに機械を設置する傾向があります。その意味でも、NEX―Ⅴは省スペースに設計し、機械全長を業界最小クラスで作っています。NEX―Ⅴは技術を駆使し、もの凄く速い速度で制御していますので、本当に良い動きが実現できています。
 小井土 NEX―Ⅴには「より速く、より精密に」のテーマもありますが、NEXシリーズの型締トグル機構を継承しています。また、フラットクランプ型締機構はバリなどの成形不良を防ぎ、再現性に優れた精密安定成形を実現します。NEX―Ⅴは金型や型締機構の長寿命化に貢献する機械です。そのほか、従来

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