*この記事はゴム・プラスチックの技術専門季刊誌「ポリマーTECH」に掲載されました。
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シリーズ連載② 現場に役立つゴムの試験機入門講座
第5回 引張試験について
蓮見―RCT代表 蓮見正武
ゴムの引張試験は硬さ試験同様にゴムの基本的な特性を知る上で不可欠です。「硬さ、引張強さ、伸び」はワンセットの試験として必ず行われています。
天然ゴムが中心の時代には「引張り強さが強いゴムは良いゴム」とされていました。
実際には、強度不足でゴムが切れてしまうことはあまりなく、切断伸びよりもはるかに小さな変形で亀裂が入ったり、へたって使用不能になることが多いので引張強さ、伸びはそれほど重要ではないのですが、製品規格に硬さと並んで必ず記載されているのは、「強くてよく伸びる」というゴムのゴムらしさを端的に表しているからでしょう。
引張試験の規格
「引張り試験」は引張り強さ(破断強さ)、伸び(破断伸び)、一定変形における応力(引張モジュラス)を総称しています。単に「物性」と言うときはこの引張り試験の数値を指しています。高温時の物性、老化後の物性、浸漬試験後の物性などと区別するため、老化していないサンプルの室温における引張り試験を「常態物性」と呼ぶこともあります。
引張試験方法は各国ともISOに準拠した規定が採用されているので、若干の違いはあっても試験法はほぼ統一されています。
◦ISO 37:2017
Rubber,vulcanized or thermoplastic-Determination of tensile stress-strain properties
◦JIS K6251:2017
加硫ゴムおよび熱可塑性ゴム-引張り特性の求め方
Rubber,vulcanized or thermoplastic-Determination of tensile stress-strain properties