日本ゼオンは2月24日、リチウムイオン電池のセパレータに接着層を形成し、電極とセパレータを接着させることで捲回体を一体化する技術の実用化を推進しており、パウチ型セルの課題である電極間距離の維持を解決し蓄電池の長寿命化と低コスト化を実現する技術として、本格的な展開を開始したと発表した。
パウチ型のリチウムイオン電池は、使用を重ねることで残留応力等の影響により電極とセパレータの間に隙間が生じることで、正負極間でのリチウムイオンの移動が阻害され、電池寿命に影響が生じる課題があった。
同社が販売している接着剤(AFL)は、セパレータに塗布することで電極間距離を維持することを可能とするため、電池の長寿命化に貢献する。温度や圧力など任意の条件に合わせた接着が可能で、プロセスへの適合性が高いという特長を有している。
さらに、AFLの適用は電池製造プロセスにおいても多くのメリットをもたらす。捲回体を熱プレス等で一体化することで、製造工程内の搬送を高速化させ、また大型サイズの電池であっても電池容器への挿入が容易になる等、電池の生産性向上に大きく貢献する。
また、昨今普及の進む積層型電池の積層体では、層間のズレや折れなどの発生による歩留まり低下の課題を抱えていたが、AFLを使用して層を一体化させることでこれら課題が解決するため、ハンドリングが向上しプロセスの高速化にも役立つ。
なお、これら成果の詳細については、3月に東京ビッグサイトで開催される展示会「二次電池展(バッテリージャパン)」での講演にて発表する予定となっている。講演名は「リチウムイオン電池用機能性バインダー技術の開発」で、3月4日に開催予定となっている。
同社グループは、今後も持続可能な社会の実現に向けて蓄電池産業の発展に寄与していくとしている。