*この記事はゴム・プラスチックの技術専門季刊誌「ポリマーTECH」に掲載されました。
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特設記事1 シリコーンゴムの基礎と応用
シリコーンゴムの歴史および構成と製造の概要
戸知技術研究所 戸知光喜
1.はじめに
シリコーンゴムはその基礎原料であるメチルクロロシランの工業生産が始まってから約80年の歴史を持つ。シリコーンゴムの需要と用途の拡大は継続しており、近年その独特の特性である柔軟性、耐候性、耐寒性などが更に注目されている。一方、シリコーンゴムの製造、加工は各企業、団体の鋭意努力により更に洗練され高度な技術が構築されつつある。
本報では、シリコーンゴムの歴史および構成、製造についての概要について説明する。
2.シリコーンゴムの歴史
シリコーンゴム製品の開発は、1930年代初頭に米国においてシリコーンゴムの工業化検討が始まり、1944年にはシリコーンゴムの初めての特許が公開された1)。当該特許ではジメチルジクロロシランの加水分解反応後の高沸点リニアー状ポリシロキサンに酸化鉄をフィラーとして加え 塩化アルミニウムで架橋したものである。
初めての特許が公開された後 急速にシリコーンゴムの特許件数も増え続け、現時点までに数万報に及ぶ特許が世界で公開されている。
1824年、シリコーンゴムの技術の素となるケイ素化学において、初期の最も重要な出来事としては、Berzeliusによるケイフッ化カリウム(K2SiF6)の還元によるケイ素の単離とケイ素塩化物の合成である。他にScheeleの四