プラ資源循環事業化を加速 住友化学、新部署を設置

2021年03月05日

ゴムタイムス社

 住友化学は2月26日、「プラスチック資源循環事業化推進室」を2021年4月1日付で新設し、プラスチック資源循環に関わる取り組みの事業化を加速すると発表した。

 プラスチックは日常生活を支える有用な素材として、自動車や航空機、電子機器、各種包装材などさまざまな用途に利用されている。また、新型コロナウイルス感染拡大に際しては、保護具や飛沫防止板などに使用され、人々の健康や安全の確保に寄与している。一方、使用後の不十分な再利用や不適切な処分による海洋プラスチックごみなどの環境問題が世界的な課題となっており、プラスチックを活用しつつ、使用済みプラスチックを資源として利活用し循環させる社会の実現が求められている。

 同社は、経営として取り組む重要課題(マテリアリティ)の一つに、プラスチック資源循環への貢献を掲げている。長年にわたり石油化学事業を通じて蓄積した技術や知見を生かし、容器等の薄肉化や詰め替え用に適したフィルム向け材料などプラスチックのリデュース、リユースにつながる製品の開発・供給に取り組むとともに、近年は、マテリアルリサイクルとケミカルリサイクルの技術開発を推進している。マテリアルリサイクルについては、使用後のプラスチックを回収、再資源化し製品の一部に使用するもので、石油化学部門において自動車部材向けのリサイクルコンパウンド事業の拡大に注力している。一方、ケミカルリサイクルに関しては、他企業やアカデミアと共同で、ごみを原料としたポリオレフィン製造やメタノール合成、廃プラスチックの化学的分解による原料化について、2020年代での事業化を目指し研究を進めている。

 今後、これらのケミカルリサイクル技術を広く社会実装していくためには、技術開発の加速だけでなく、原料となるプラスチック資源の確保、リサイクルにより得られたプラスチック製品の市場開拓など多くの課題の解決に取り組むことが不可欠となる。そのため、同社はプラスチック資源循環事業化推進室を新設し、同室を中心にこれらの課題解決に向けて顧客や同業他社、自治体などとの連携体制の構築も含めたケミカルリサイクル技術の事業化、および資源循環サイクルの社会実装を推進していくこととした。

 

ケミカルリサイクル技術の一例

ケミカルリサイクル技術の一例

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