クラレは3月1日、ガスバリア性樹脂「エバール」の延伸性・収縮性を向上させた新たなグレードであるSC銘柄を開発したと発表した。2月24日から3月9日まで同社グループのオンライン展示会として開催する「包装オンライン展示会2021」(https://bit.ly/3dlyWbR)で紹介している。
近年、プラスチックごみ問題やフードロス削減のためのバリアパッケージへの関心が高まる中、より環境に配慮した素材開発が求められている。同社は、その高いガスバリア性能から食品包装材に広く使用され、長期保存や賞味期限の延長によるフードロスの削減にも貢献している「エバール」に、さらなる特性を付与した「エバール」SC銘柄を開発、今後、新たな食品包装材の設計をサポートし、包装材の減量による環境負荷低減にも寄与していく。
「エバール」樹脂SC銘柄の特長として、一般的なEVOH銘柄と同等以上のガスバリア性を維持しながら、延伸性・収縮性を高めた点が挙げられる。また、ポリエチレンなどのオレフィン系素材と積層し多層構造とすることで、シュリンクバッグ、スキンパックなどの食品包装に使用される二軸延伸多層フィルムへなどの展開が可能となる。さらに、食肉包装材として使用されているポリ塩化ビニリデン(PVDC)の代替なども可能となるため、用途開発やマーケット開拓の加速が期待される。
「エバール」は同社が1972年に世界で初めて開発・事業化した高機能性樹脂で、プラスチックとしては最高レベルのガスバリア性(汎用ポリエチレンの約1万倍)を有している。優れた気体遮断性を生かし、食品の保存性に優れた包装を始め、化粧品、薬品の容器、また軽量化や成形加工を容易にしながら厳しい燃料ガスの排出規制に対応できるため、自動車ガソリンタンクへも採用されている。さらに、壁紙や床暖房用パイプ、冷蔵庫の真空断熱板など住宅・生活関連分野などへも展開しており、世界的に需要が拡大している。