*この記事はゴム・プラスチックの技術専門季刊誌「ポリマーTECH」に掲載されました。
*記事で使用している図・表はPDFで確認できます。
新刊ガイド
ゴム金型活用ハンドブック
ゴム技術コンサルタント 大坪一夫
ゴム成形金型を選ぶときの注意点について、それぞれ金型構造、未加硫ゴムの性質、成型機の性能などの観点から述べている。ゴム金型メーカーに金型を発注するときにどのような点に注意すればよいか、できるだけ多くの金型構造図を示して、それぞれ個々の会社の成形技術レベルによって最適な金型を選ぶヒントを示した。
ゴム金型活用ハンドブック
大坪一夫著 A5判/128頁 定価: 本体 4,800円 +税・送料別
書かれていることは必ず金型選びのヒントに
──ゴム金型の重要性について。
金型はゴム成形になくてはならないもの。広義でいえば、世の中のコンプレッション成形はすべて金型といえる。
──ゴム金型で苦労したこと。
自分には、元特攻隊あがりの金型工場の工場長という優れたアドバイザーがいたので、あまり苦労はなかった。当時はCADもなく、ちゃんとした製品になるか、どういう金型にすればいいのか図面を見ながら頭の中で考えるしかなかったが、工場長は、図面を見ただけで図面を反転させた製品形状を即座に頭に浮かべることができた。
──工場長から学んだものづくりとは?
言葉にはしないが、職人の考えの奥深さ。職人は饒舌ではない。自分は半端な職人なので、本物の職人がうまく言葉で表現できないものを代弁している。当時はたいした工作機械もなく、そこからきちんとした製品を作らなければならなかったが、工場長からは金型のすべてを学んだ。
──ものづくりで大切なこと。
考えるより、まず行動に移すということ。頭のいい人は、やる前に「だからだめだ」と結論づけるが、やってみて初めて良し悪しがわかる。今書いている原稿にも、そうしたうんちくを散りばめようと思っている。ゴム練り、配合がわかっていないと金型や成型はわからない。すべてつながっており、どれも重要な要素だと言える。
職人の技術や知恵を言語化しようとして本を執筆した。ただし、正解ではなくあくまでもヒントになるものを書いた。読者の技術レベルによって、必要箇所は違うので選んでもらいたい。
23歳から60歳まで㈱東京ゴム製作所に携わってきた。そこで得られた知識や経験を元にしている。ただしそれだけでは本は書けなかった。㈱岡山に行って、多くのゴム工場を見て回った経験が活きている。
──今のゴム業界について。
今、ロール工は3Kのイメージがあって、なろうという人が少ない。教える人もいない。技術面では、