三洋化成工業は3月9日、APB、グンゼと、APBおよび同社が開発中の次世代型リチウムイオン電池「全樹脂電池」の樹脂集電体の量産化に向け、三社で協議を行い、最適な生産および供給体制の構築を目指すことを覚書にて締結したと発表した。
再生可能エネルギーの活用、IoT技術による電力インフラの高度化、災害対応など、今まで以上に電池や蓄電システムの重要性は高まっている。全樹脂電池は、バイポーラ構造という集電体に対して垂直に電流が流れる構造と、高分子樹脂の基本部材への採用を通じて、高品質、高い異常時信頼性、高エネルギー密度、形状・サイズにおける高いフレキシビリティ、革新的な生産プロセスといった性能・特徴を全て同時に実現した次世代型リチウムイオン電池であり、定置用蓄電池や各種モビリティ用途など様々な用途での展開を通じて、あらゆる生活の場面を豊かにし、持続可能な社会の創造に貢献できるものとなっている。
集電体はリチウムイオン電池において電気を取り出す端子であり、一般的には銅やアルミなどの金属が使用されるが、全樹脂電池では構想段階から金属集電体を廃し樹脂集電体を活用することを目指してきた。樹脂集電体は、全樹脂電池の高い異常時信頼性の実現に不可欠な電極の構成部材であり、グンゼのフィルム製造技術をベースに三社で共同開発を進めてきた。これまでに各種評価を通じて全樹脂電池の基本特性を確保することができており、現在は製品仕様の確定に向けた取り組みを推進している。
今回の覚書により、樹脂集電体の開発に加え、量産化を見据えた協力体制の継続・強化を確認し、同協業事業は新たなステップに入る。三社は樹脂集電体の最適な生産および供給体制を構築することで全樹脂電池の量産化を促進し、持続可能な社会の実現に貢献していくとしている。