東レは3月17日、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムとしては世界最高レベルの耐熱性と品位を実現した新タイプ「トレファン」を創出したと発表した。
同開発品は打痕、汚染リスクを極小化する高い品位を有し、120℃の高温環境でも使用することができる。同社は今後、OPPフィルムの光学材料、電子部品向け用途の更なる拡大を推進していく。
OPPフィルムは、離型性、低アウトガス性、紫外線透過性、低吸湿性等、様々な特性に優れ、包装用途に広く使われている。同社は、2018年にトレファンの高品位・高平滑グレードを上市し、多数の光学材料、電子部品工程向けに採用されているが、近年、IoT社会の発展に伴い、光学材料や電子部品の高性能化、高機能化に寄与するフィルムの耐熱性の向上が求められており、OPPフィルムの更なる適用には耐熱性の向上が課題だった。
同社はこれまで、OPPフィルムの抜本的な高品位化、高平滑化、高耐熱化に取り組み、アウトガス、フィッシュアイを大幅に低減し、汚染や打痕リスクを極小化する品位を実現しており、また、フィルム表面の平滑性、及び耐熱性を自在に制御可能とする要素技術を開発している。今回、耐熱性を自在に制御する要素技術を極限追求することで、従来のOPPフィルムと比較して高温弾性率を最大80%向上させ、さらに、収縮が開始する温度を40℃高温化した新タイプ「トレファン」を創出した。同開発品は打痕、汚染リスクを極小化する高い品位を有し、120℃の高温環境でも使用することができる。
新タイプ「トレファン」は、耐熱性を大幅に向上したことで、離型剤転写が許されない保護・支持体用途や低アウトガス性が必須となる蒸着・スパッタ保護用途、紫外線照射工程保護用途、低吸湿性が必須となる偏光板部材、感光性材料保護等、幅広い工業材料用途への適用が可能となる。同社は今後、用途拡大を積極的に推進し、光学材料、電子部品の高性能化、高機能化に貢献するとしている。