エボニックは3月23日、エボニック インダストリーズがリチウムイオン電池用の新たな負極材として、シリコンとカーボンの複合材「Siridion Black」を発表したことを発表した。同製品は、エネルギー密度を高め、急速充電能力とエネルギー効率を向上させ、より強力な電池を実現する。
Siridion Blackは気相合成法によって生成され、数百ナノmの大きさの独立した非焼結球状粒子からなる粉末で、粒子は非晶質、その内部では炭素濃度が内側から外側に向かって高くなるため、優れた安定性が確保される。同製品の開発および製品化を担当したユリア・リュビナ氏は「さらに、表面の炭素濃度が高いことから、粒子は酸化しにくく製造プロセスが容易になる」と述べている。
同社はこれまで正極活物質とセパレータコーティング用のフュームド金属酸化物を供給していたが、Siridion Blackが加わることで電池材料のあらゆる範囲をカバーできるようになった。その製品特徴からウェアラブルデバイスやモバイル機器メーカーのニーズに対応可能となる。同社のシラン部責任者ペーター・フリーゼンハーン氏は、「Siridion Blackの上市は、当社のポートフォリオの戦略的成長における重要なマイルストーン。魅力的かつテクノロジー主導の成長市場で当社の製品を強化し、お客様のイノベーションパートナーとしてのポジションを確立していく」とコメントしている。
この高機能負極材は、同社のリサーチ・ディベロップメント&イノベーション部門とシラン部が共同で開発した。現在は、ドイツ連邦経済エネルギー省が2023年まで助成を行うデュースブルク・エッセン大学との共同プロジェクトとして、リチウムイオン電池のさらなる高機能化に取り組んでいる。
同製品の量産化が可能となり、3月19日から21日まで中国の深圳で開催された中国国際電池技術交流会・展示会で一般公開された。