住友理工は3月31日、自動車(トラック、バスを含む)など各種モビリティのシートに設置できる「ドライバーモニタリングシステム」のプロトタイプが完成したと発表した。同社は、走行する際の振動環境下でも、座るだけでバイタル(心拍・呼吸)、体動情報などの情報を取得できる「ドライバーモニタリングシステム」の開発を進めている。
同社が今回開発したプロトタイプは、パシフィコ横浜(横浜市)で5月26日から開催される「人とくるまのテクノロジー展2021横浜」に出展予定となっている。また、今夏より企業向けのモニター販売を予定している。同社は協業なども視野に、同製品のさらなる発展・開発を推進していくとしている。
同製品は、同社独自開発の柔軟で電気を通す特殊なゴム材料「スマートラバー(SR)」を用いたセンサーで、シートに設置するだけで、座面に伝わる微弱な振動を検知し、独自のアルゴリズムで心拍数や呼吸数、体動情報を推定することが可能となる。スマートフォンや各種ゲートウェイなどを介して通信することによって、クラウド上で状態推定解析を行うことが可能なアプリケーションやサービスへの活用を想定している。
従来、自動車走行中は路面やエンジンからの振動が大きく、心拍数や呼吸数を推定するのは困難だった。同社では100名以上の被験者の協力により、実車評価を延べ5000km以上実施し、アルゴリズムの改善を繰り返すことで、心拍数、呼吸数の推定精度を格段に向上させた。
現在、「先進安全自動車(ASV)技術の実用化による交通事故削減に向けたガイドライン」などの策定が推進されており、乗員状態検知の重要性が高まる中、同製品は、座るだけで乗員のバイタルデータを取得できるのが特長となっている。同社は、将来的には眠気を感知した際にアラートを出したり、異常時対応システムに発展させたりすることで安全性向上につなげていき、さらに、バスやトラック、タクシーなどの事業者による安全な運行管理にも寄与していくとしている。