BASFは4月2日、さらなる気候目標を設定したと発表した。具体的には、2050年までにCO2排出量実質ゼロ(ネット・ゼロ)の達成を目指す。また、直近のCO2低排出技術やCO2フリー技術の開発の進展に基づき、2030年の中期温室効果ガス排出削減目標を大幅に引き上げ、世界全体の温室効果ガス排出量を2018年比で25%削減することを目指す。
この気候目標は、同社が今後目指している成長と、中国南部に建設中の大規模なフェアブント拠点(統合生産拠点)を考慮した上での目標となる。これらの効果を除くと、既存事業のCO2排出量を10年後までに半減させることになり、新たな気候目標を達成するため、同社は2025年までに最大10億ユーロを投資し、2030年までにさらに20億ユーロから30億ユーロを投資する計画としている。
2018年の同社グループの全世界での排出量はCO2換算で2190万t、1990年にはこの約2倍の排出量があった。今回新たに掲げた2030年の排出目標は、1990年比で約60%の削減となり、欧州連合(EU)が目標に掲げているマイナス55%を上回る。
2050年までにCO2排出量を実質ゼロにするという長期的な移行に向けては、天然ガスなどの化石燃料を再生可能エネルギー由来の電力に置き換える新技術の利用が中核となってくる。こうした技術の大半は、同社がパートナーと協力して開拓しており、現在は試験段階にある。これらの技術の大規模なスケールアップが完全に実現されるのは2030年以降になるが、それまでにもCO2排出削減を加速するため、同社は既存の生産工場において、体系的にプロセスの改善に継続的に取り組んでいる。さらに、同社は電力需要を満たすために自然エネルギー源への移行を進めており、これを促進するために風力発電施設への投資も計画している。