ランクセス、中国大手と協業 電池用化学品事業に参入

2021年04月12日

ゴムタイムス社

 ランクセスは4月9日、リチウムイオン電池材料の世界的大手メーカーである中国の広州天賜高新材料股份有限公司(以下「天賜材料」)と協業し、電池用化学品事業に参入すると発表した。この協業に基づき、同社は天賜材料向けにリチウムイオン電池用電解質の配合製品(フォーミュレーション)を2022年から製造する予定。

 電解質は、バッテリーセル内でのリチウムイオンの活性に重要な役割を果たしており、リチウムイオン電池の鍵となるコンポーネントとなっている。天賜材料は、レバクーゼン拠点で製造される高性能な電解質配合製品(フォーミュレーション)により、欧州のバッテリーセルメーカーへのEU域内での現地生産が可能となる。

 製造には、同社の完全出資子会社で、世界有数の受託製造機関であるサルティゴが運営するハイテクプラントを活用する。このプラントでは、最高の品質要件に準拠し電解質を配合することが可能で、サルティゴは化学分野での広範な専門知識によってこのパートナーシップに貢献するとともに、電解質製造分野での実績を積むことが可能となる。

 天賜材料は、導電性塩類と電解質において世界トップクラスのメーカーとして知られる。電解質配合製品(フォーミュレーション)の製造には中国で3拠点を稼働しており、さらに3拠点を現在建設している。

 同社は、バッテリーセルの製造に重要な化学物質や材料を既に数多く製造している。例えば、同社はフッ化水素酸およびリン化合物においてヨーロッパ有数のメーカーであり、いずれも高純度な導電性塩であるヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)を製造するための鍵となる原料となる。米国では、電池グレードのリチウム(陰極材料および導電性塩の製造に重要な原料)の商業生産に向けたパイロットプラントによるプロジェクトにも取り組んでいる。このリチウムは、米国アーカンソー州エルドラドにある同社の拠点で、臭素の抽出に用いられるかん水から環境に優しい方法で抽出される計画となっている。

 

電池用化学品事業に参入

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