生物資源からブタジエン生成 日本ゼオン 横浜ゴムら共同で

2021年04月13日

ゴムタイムス社

 日本ゼオンと横浜ゴムは4月12日、国立研究開発法人理化学研究所と共同で設置している「バイオモノマー生産研究チーム」の研究により、バイオマス(生物資源)から効率的にブタジエンを生成できる世界初の新技術を開発したと発表した。
 ブタジエンは主に、自動車タイヤなどの原料として使われる合成ゴムの主原料として使用されている。現在、ブタジエンはナフサ熱分解の副生成物として工業的に生産しているが、バイオマス由来ブタジエン生成技術を確立することで、石油依存度の低減につながるため、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素の削減に貢献することができる。
 日本ゼオンと横浜ゴム、理研(環境資源科学研究センター)は2013年から共同研究を進めており、バイオマスから合成ゴム原料のモノマーを生成できる技術を培ってきた。20年4月には、理研の「産業界との融合的連携研究制度」を利用して、社会実装に向けた研究を加速させることを目的とする「バイオモノマー生産研究チーム」を設置し、さらなる高生産酵素と効率的な精製技術確立に向けて各々の知見・技術を有機的に融合して研究を進めてきた。
 今回、同チームは新しい人工代謝経路と酵素で、優れたブタジエン生成能を持つ細胞の創製に成功した。これにより、微生物によるバイオ合成から生成されるムコン酸を中間体として経ることが可能になった。また、これまで開発してきた酵素の知見を取り入れることで、ブタジエンの発酵生産でのコストを大幅に削減することが期待できる。
 これらの成果は今回、ロンドンを拠点とし生物学、化学などの分野の研究論文が掲載されているオンライン専用ジャーナル「Nature Communications」に掲載されることになった。
 なお、「バイオモノマー生産研究チーム」は、同じく合成ゴムの主原料であるイソプレンについても、2018年に、世界初となる新しい人工経路の構築と高活性酵素の作成により優れたイソプレン生成能を持つ細胞を創製した。この細胞内で出発原料であるバイオマス(糖)からイソプレン生成までを一貫して行うことに成功している。

新技術で重合されたブタジエンゴム

新技術で重合されたブタジエンゴム

 

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