帝人フロンティアは4月12日、リサイクルポリエステル原料を使用した超極細ポリエステルナノファイバー「ナノフロント」の量産化技術を開発したと発表した。リサイクルポリエステルを使用した長繊維による超極細ポリエステルナノファイバーの量産化は世界初(同社調べ)となる。
同社は今後、従来の「ナノフロント」からリサイクルポリエステル原料を使用したものへの置き換えを進め、スポーツ衣料や産業資材など幅広い用途に向けて展開していく。
なお、今回の量産化技術の開発により、同社が展開するポリエステル繊維は、全てリサイクル原料を使用することが可能となる。
近年、高い機能性や快適性を有する素材へのニーズが高まっており、吸水性やグリップ力などの高い機能性と、ソフトな風合いや肌への低刺激性などの優れた快適性を併せ持つ「ナノフロント」の需要は、衣料および産業資材の幅広い用途へと拡大してきた。一方、リサイクル原料を使用した素材へのニーズも急速に高まっているが、リサイクルポリエステル原料を使用した超極細繊維の生産は、ポリマーコントロールや紡糸技術の難度が非常に高いため、量産化が実現していなかった。こうした中、同社は、「ナノフロント」の生産方法である海島複合紡糸において、新たなポリマーコントロールおよび紡糸技術を開発し、石油由来の原料を使用した従来品と同等の品質と機能を持つ、リサイクルポリエステル原料使用の長繊維による超極細ポリエステルナノファイバーの量産化に世界で初めて成功した。
リサイクルポリエステル原料を使用した「ナノフロント」の特徴として、石油由来の原料を使用した従来品と同等の品質と機能(① 吸水性、② 高グリップ性、③ ソフトな風合い、④ 高いろ過性と捕集性、⑤ 防透性・遮熱性)を有していることが挙げられる。
今後の展開として同社は、原糸およびテキスタイルをスポーツ・機能性衣料や産業資材用途などへ幅広く展開し、積極的に拡販を図っていくことにより、2021年度に3億円、2025年度に8億円の売上を目指すとしている。