帝人は4月21日、同社、伊藤忠商事、日揮ホールディングスが、廃棄されるポリエステル繊維製品からポリエステルをケミカルリサイクルする技術のライセンス事業に向けた共同協議書を締結したと発表した。
昨今、温室効果ガスによる地球温暖化や、廃棄プラスチックおよび遺棄漁具などによる海洋汚染といった環境破壊が深刻化しており、世界中で対策が急がれている。日本においても2050年までにCO2を始めとする温室効果ガス排出量をゼロにする目標が掲げられるなど、持続可能な社会の実現に向けてさまざまな取り組みが始まっている。繊維産業においても衣料品の大量廃棄問題や製造工程におけるCO2排出量などの環境負荷がクローズアップされるなど、サステナビリティ課題の解決が急務となっている。
同社は、繊維製品を原料としたポリエステルのケミカルリサイクル技術を用いた大規模プラントを操業し、廃棄される繊維製品からポリエステル繊維を生産するケミカルリサイクル技術を世界に先駆けて実用化し、グローバルに事業展開している。日揮ホールディングスは、世界屈指のエンジニアリング技術を持ち、オイル&ガス、インフラを中心とする様々な分野における豊富な実績を国内外で有している。また、昨今では環境配慮型のプラント建設や、環境関連技術のビジネス化に注力している。伊藤忠商事は、2019年より繊維産業における大量廃棄問題の解決を目指す「RENU」プロジェクトを始動し、使用済みの衣料や生産工程で発生する生地片などを原材料とするリサイクルポリエステル素材のグローバル市場への展開を推進してきた。
今回の協議書締結においては、同社の持つポリエステルのケミカルリサイクル技術と、グローバルにエンジニアリング事業を展開する日揮の知見、伊藤忠商事の持つ繊維業界の幅広いネットワークを活用し、廃棄されるポリエステル繊維製品を原料としたポリエステルのケミカルリサイクル技術の国内外へのライセンス展開や、コスト効率に優れたケミカルリサイクルシステムの構築を検討する。
同社はこれにより、繊維製品の大量廃棄問題に対する有効な解決手段の更なる拡大を目指すとしている。