住友理工は4月28日、同社と同社社員が出資する住友理工あったか基金が、聴覚に障がいを持つ方やその支援者のために、表情や口元が見える「透明マスク」を製作し、産業用ホース製造・販売連結子会社、住友理工ホーステックスの聴覚障がい者関係者グループ「あやべネットワーク」を通じて、全国の関係者へ約900枚寄贈すると発表した。
新型コロナウイルス感染症が広まり、感染予防・咳エチケットとして、マスクの着用が不可欠な生活様式が定着した。しかしながら、マスクは耳が聞こえない人、聞こえにくい人にとって、相手の言葉を知る手がかりとなる顔の表情や口の動きを覆い隠してしまい、コミュニケーションの壁となっている。また、飛沫感染防止の観点から、マスクを下ろして改めて話してもらうことも難しくなっている。このような課題を抱える中、その解決に向けて、あやべネットワークと同社あったか基金による透明マスク共同プロジェクトが始動し、口元の見える、曇りにくい透明マスクを手作りすることになった。仕様の検討や試作においては、同社従業員の有志が参画し、普段の業務で培った知見やノウハウを活用した。
4月27日には住友理工ホーステックスにて、贈呈式を開した。同社常務執行役員で社会貢献委員長の南野高伸氏より「制作には苦労もあったが、皆さまの協力とボランティア精神のおかげでこの日を迎えられた。ご活用いただけると嬉しく思う」とあいさつがあった。あやべネットワークの野田和博代表は手話で、「口元や表情が見えるマスクをいただけて非常にありがたい。このようなマスクが全国に普及していくように働きかけをしたい。そして安心してコミュニケーションを取ることができる社会になってほしい」と謝辞を述べた。
今後、透明マスクは、あやべネットワークを通して、綾部市役所や同市社会福祉協議会など窓口業務を行う箇所を中心に配布する。追って京都府北部、さらに全国の聴覚障がい者団体などにも、順次寄贈を進めていく予定となっている。