三井化学は5月10日、同社の銅合金蒸着技術を用いた抗ウイルスフィルム「カッパーストッパー」(開発品)が、SIAA認定試験機関の評価試験において、多様なウイルスに効果を発現することを確認したと発表した。併せて、SIAAの抗ウイルス材料認定を取得したことも発表した。
この結果を受けて同社は、コロナ下で拡大する抗ウイルスマーケットへの本格的な市場開発を開始する。安定的に抗ウイルス性を必要とし、繰り返し使用する用途に適していることから、医療・介護・福祉・住宅・オフィス・学校・飲食店・工場等での使用を想定している。
同社の抗ウイルスフィルム(開発品)は、ポリプロピレンフィルムの片面に銅合金蒸着技術を施している。カッパーストッパーとは、同社が独自に開発した銅合金蒸着法によるコーティング材料で、銅が持つ抗菌・抗ウイルス性能を落とさず、錆びやすく変色しやすい欠点を合金化することで解決している。フィルム化することで、銅の持つ抗菌・抗ウイルス性を幅広い工業製品に応用することが可能になる。
銅は人の健康に欠かせない大事な栄養素の一つであると同時に、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、白癬菌など様々な菌に対し優れた抗菌性、不活性化効果を持ち、スギ花粉アレルゲンやダニアレルゲン等に対する抗アレルゲン性能も確認されている。2008年3月に米国環境保護庁(EPA)が銅及び銅合金の公衆衛生における抗菌力を表示することを固体材料として初めて、かつ唯一認可したことで、安全で強い抗菌性能を有する金属として世界的に脚光を浴びており、衛生的な環境が求められる病院や福祉施設、保育所などでの採用が広がっている。
同社は、カッパーストッパーフィルムの用途拡大を推進し、人々の生活の質の向上に貢献していくとしている。