マテリアルは減収減益 帝人の21年3月期

2021年05月12日

ゴムタイムス社

 帝人の21年3月期連結決算は、売上高が8565億1200万円で前期比2・0%減、営業利益は549億3100万円で同2・3%減、経常利益は536億5800万円で同1・2%減、当期純利益は66億6200万円の損失となった。新型コロナウイルスの影響で繊維・製品事業における医療用防護具(ガウン等)やIT事業が好調であったことに加えて、ヘルスケア事業領域も薬価改定影響を受ける中で底堅く推移した。一方でマテリアル事業領域においては自動車用途や航空機用途を中心として需要低下の影響を受けた。
 セグメントのうち、マテリアル領域は、売上高が2970億円で同9・3%減、営業利益は10億円で同94・0%減。新型コロナウイルスの影響により自動車用途や航空機用途は需要減となるも、期後半における自動車市場の回復に伴い自動車向け販売は回復。各事業分野において活動抑制等により販管費が減少した。
 同領域のアラミド分野では、主力のパラアラミド繊維「トワロン」において、タイヤ補強材、摩擦材などの自動車関連や光ファイバーを含む用途全般において販売量が減少したが、各市場の回復に伴い販売量が回復した。樹脂分野は、主力のポリカーボネート樹脂において、期後半から販売量が回復し通期では前期並みを維持した。炭素繊維事業分野では、需要が減少した航空機用途において炭素繊維「テナックス」の販売量が大幅に減少したため、風力発電用途やレクレーション用途等の航空機用途以外への販売を強化した。
 同領域の複合成形材料事業分野では、期初に、OEM生産大幅減により米国CSP社の自動車部品の生産・販売が大きく影響を受けたが、SUV・ピックアップトラックを始めとする米国自動車市場が回復し、大幅に改善した。米国において比較的高水準の失業給付が継続している影響で、CSP社において工場稼働が回復する中で従業員の確保が課題となっており、定着率改善のための対策を推進している。
 ヘルスケア領域は、売上高が1487億円で同3・4%減、営業利益は315億円で同3・2%減だった。
 22年3月期の連結業績予想は、売上高が8700億円で前期比4・0%増、営業利益は600億円で同9・2%増、経常利益は600億円で同11・8%増、当期純利益は350億円を見込んでいる。

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