後半はエンプラ需要回復 ダイセルの21年3月期

2021年05月14日

ゴムタイムス社

 ダイセルの21年3月期連結決算は売上高は3935億6800万円で前年同期比4・7%減、営業利益は317億2300万円で同7・0%増、経常利益は346億8300万円で同9・1%増、親会社株主に帰属する当期純利益は197億1300万円で同296・0%増となった。親会社株主に帰属する当期純利益は、2020年10月のポリプラスチックスの完全子会社化などが影響した。
 セグメント別にみると、エンジニアリングプラスチック事業の売上高は、1685億5600万円で同4・3%減、営業利益は211億7200万円で同1・3%増となった。
 ポリアセタール樹脂、PBT樹脂、液晶ポリマーなどのエンジニアリングプラスチック事業は、年度前半に自動車、スマートフォンなどの需要が大きく減少したものの、後半には需要が回復した。それに伴い販売数量を伸ばしたものの、前半の需要減少の影響が大きく、減収となった。ABS樹脂、エンプラアロイを中心とした樹脂コンパウンド事業は、景気後退による需要の減少により、減収となった。シート、成形容器、包装フィルムなどの樹脂加工事業は、包装フィルムの販売減少などにより、減収となった。
 マテリアル事業の売上高は1042億300万円で同4・7%減、営業利益は179億2100万円で同13・3%増となった。
 酢酸は、年度後半に需要が回復し市況も上昇した。それにより販売数量は増加したものの、年度前半の市況低下が響き、減収となった。酢酸誘導体は、一部製品の需要増加により販売数量が増加し、年度後半には酢酸市況の上昇により販売価格も上昇したが、年度前半の酢酸市況低下の影響により、減収となった。アセテート・トウの販売数量は横ばいで推移したが、為替の影響などにより販売価格が低下し、減収となった。カプロラクトン誘導体やエポキシ化合物などは、一部用途での需要の回復が見られるものの、年度前半の落ち込みや欧米向けの需要が低調であることなどから販売数量が減少し、減収となった。
 22年3月期通期の連結業績予想については、売上高は4200億円、営業利益は270億円、経常利益は290億円、当期純利益は220億円を見込んでいる。なお、22年3月期の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用するため、連結業績予想は当該会計基準等を適用した後の金額となっており、対前期及び対前年同四半期増減率は記載していない。

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