ADEKAの2021年3月期の連結決算は、売上高が3270億8000万円で前年同期比7・5%増、営業利益は289億7900万円で同28・7%増、経常利益は292億7000万円で同33・2%増、親会社株主に帰属する当期純利益は164億1900万円で同7・9%増となった。
化学品事業の売上高は1758億2300万円で同7・1%増、営業利益は203億4900万円で同16・1%増となった。
樹脂添加剤は、自動車向けでは第3四半期以降、自動車生産の急回復に伴い核剤、光安定剤、ゴム用可塑剤の販売が回復した。建材向けでは、塩ビ用安定剤の販売が北米を中心に堅調に推移した。医療分野向けでは、感染予防対策関連で需要が増加したが、外来受診の抑制が続いたことで一般医療分野向けの販売が低調だった。食品包装関連向けでは、透明化剤等の販売が海外を中心に堅調に推移した。自動車や家電、日用品等のプラスチック製品に幅広く使用される酸化防止剤は、期末にかけて販売が回復したが、通期では前期を下回った。家電筐体向けエンジニアリングプラスチック用難燃剤は、テレワークの広がりによるパソコン需要の拡大を捉え、中国、東南アジア等で販売が好調に推移した。
この結果、樹脂添加剤全体では、第3四半期以降、自動車向け材料の販売が回復したことに加え、決算期統一の影響もあり、前期に比べ増収増益となった。
情報・電子化学品は、半導体向けでは5G通信を中心とした旺盛な半導体需要を背景に、最先端の微細化に対応したDRAM向け新製品の出荷が順調に拡大し、NAND向け製品の販売も堅調に推移した。また、EUV(極端紫外線)に代表される最先端のリソグラフィ工程で使用される光酸発生剤の販売が好調に推移した。ディスプレイ向けでは、液晶・有機ELパネルの需要が増加し、液晶ディスプレイ用エッチング薬液、光学フィルム向け光硬化樹脂、カラーフィルター向け光重合開始剤の販売が好調に推移した。
この結果、情報・電子化学品全体では、前期に比べ増収増益となった。
機能化学品では、第2四半期までは新型コロナウイルス感染症の影響を受け、総じて販売が低調に推移したが、第3四半期以降、自動車生産の急回復や一般工業向け薬品で需要が持ち直し、主力製品の販売が回復した。自動車向けは、エンジンオイル用潤滑油添加剤、特殊エポキシ樹脂やエポキシ樹脂接着剤の販売が回復した。また、一般工業向けではプロピレングリコール類の販売が好調に推移した。一方で、インバウンド需要や外食産業向け需要が減少したため、化粧品や洗浄剤向け界面活性剤の販売が低調だった。
この結果、機能化学品全体では、前期に比べ減収増益となった。
22年3月期通期の連結業績予想は、売上高が3290億円で前期比0・6%増、営業利益が256億円で同11・7%減、経常利益が260億円で同11・2%減、純利益が164億円で同0・1%減を見込んでいる。