PPS樹脂使用で新製品開発 帝人の炭素繊維プリプレグ

2021年05月21日

ゴムタイムス社

 帝人は5月19日、同社グループにおいて欧州で炭素繊維事業を展開するテイジン・カーボン・ヨーロッパ社(ドイツ、以下「TCE」)が、一方向性の炭素繊維プリプレグ「テナックス TPUD」の新製品として、母材にポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂を使用した、テープ状の炭素繊維プリプレグを開発したと発表した。

 今回開発した新たな「テナックス TPUD」は、既に市場展開しているポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂やポリアリールエーテルケトン(PAEK)樹脂を使用した「テナックス TPUD」と同様に、耐薬品性、耐熱性、リサイクル性、低吸水性、寸法安定性、高温下での耐クリープ性、および短時間成形や室温での貯蔵、出荷を可能にするなどの特性を備えながら、PEEK樹脂やPAEK樹脂を用いたものよりも低い温度での成形が可能という特長を有している。これによりPPS樹脂を使用した「テナックス TPUD」は、高い費用対効果を発揮しながら、要求特性の厳しい航空機用途や自動車用途をはじめ、石油・ガス産業用途、スポーツ用途、医療用途、産業機械用途などに向けたソリューション展開が可能で、さらに難燃性と低発煙性能にも優れることから、航空機や鉄道車両の内装用途にも使用することができる。

 また、PPS樹脂を使用した「テナックス TPUD」は、ATLやAFPといった技術で自動積層し、オーバーモールド成形により複雑な形状を付与するなど、より高度な技術に対応することが可能で、生産効率の向上により製造工程のコスト効率向上にも大きく寄与する。

 同社は、これまでPEEK樹脂およびPAEK樹脂を母材としたテープ状の炭素繊維プリプレグを展開してきたが、母材にPPS樹脂を使用した「テナックス TPUD」を開発し、ラインアップに加えることにより、これまで以上に幅広い分野への展開が可能となる。

 

PPSを使用したテープ状の炭素繊維プリプレグを開発

PPSを使用したテープ状の炭素繊維プリプレグを開発

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー