全樹脂電池量産工場が稼働 三洋化成工業、福井で開所式

2021年05月27日

ゴムタイムス社

 三洋化成工業は5月25日、同社の持分法適用会社であるAPBが、全樹脂電池の量産のための第一工場である「APB福井センター武生工場」(以下「武生工場」)の稼動開始にともない、同日開所式を行ったと発表した。APBは、全樹脂電池の製造及び販売を行うスタートアップ企業。

 全樹脂電池は、活物質に樹脂被覆を行い、樹脂集電体に塗布をすることで電極を形成している。このような独自の製造プロセスにより、従来のリチウムイオン電池よりも工程を短縮することで、製造コスト・リードタイムの削減を実現するとともに、これまでにない高い異常時信頼性とエネルギー密度を実現している。部品点数が少なくて済むバイポーラ積層型で、樹脂で構成しているため、電極の厚膜化が容易に行え、セルの大型化が可能で形状自由度が高いことも特長となっている。

 開所式は、新型コロナウイルス感染症が拡大している状況を受け、規模を大幅に縮小し、感染拡大防止対策を徹底の上、同社関係者中心で執り行われた。式典で挨拶に立ったAPB筆頭株主である同社の安藤社長は、「全樹脂電池はまさにサステナブルでよりよい社会を創造するために欠かせないソリューション。全樹脂電池を世に広め、事業を発展させるよう今後も支援を行っていく」と祝辞を述べた。

 武生工場は、世界初の全樹脂電池の量産工場となり、従来のリチウムイオン電池工場とは大きく異なる特徴を持つ。廃液が出ないだけでなく、乾燥工程をはじめとする多くのプロセスを排除することで、使用エネルギーを削減することにも努めるなど、環境保護、保全効率の向上を重視した設計となっている。

 同社は、同日の開所式に続き、今年10月を予定している本格稼動に移行するべく準備を進めていく。量産開始当初は、特殊用途を中心に生産を実施するが、高エネルギー密度という特長を生かし、定置用蓄電池や各種モビリティ用途にも対応して生産を拡大させていく予定となっている。同社は、将来的には武生工場を事業拠点として、生産拠点の世界各地への展開も図っていくとしている。

APB 福井センター武生工場外観

APB 福井センター武生工場外観

開所式の様子

開所式の様子

新開発の全樹脂電池モジュール

新開発の全樹脂電池モジュール

内部構造

内部構造

 

 

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