三井化学は5月26日、EUVペリクルの商業生産を開始したと発表した。同社は半導体リソグラフィー分野で世界ナンバーワンのASML社から同EUVペリクル事業のライセンス契約を受け、その設計と技術に基づき同製品の生産設備を同社岩国大竹工場内に新設、今回、世界に先駆けて商業生産を行う。
第5世代移動通信システム(5G)導入によるデータ通信の超高速化は、スマートフォンの更なる高機能化とそれを支える半導体の高性能化をもたらす。先端デバイスに用いられる半導体では、回路線幅7nm以下の超微細化が必要であり、超短波長であるEUV露光技術の採用が本格的に拡大している。EUVペリクルはその露光工程で利用されるフォトマスクの防塵カバーとなる。
ASML社は半導体の露光(リソグラフィー)機メーカー世界最大手であり、EUV露光機及びEUVペリクルの開発に成功した唯一のメーカーとして知られる。
同社は、露光工程の防塵カバー「ペリクル」を1984年に発売して以来、半導体の微細化に合わせたペリクルの改良と製品品質の向上に努めてきた。ペリクルで培った異物管理などの生産ノウハウがEUVペリクルの生産にも生かされている。今後同社は、EUV露光機の進化に合わせて、EUVペリクルの技術改良・革新をASML社とともに取り組んでいく。
同社は、EUVペリクルなどICT分野関連製品群を通じ、半導体の更なる微細化への貢献など、顧客の技術革新要請に対応することで広く社会に貢献していくとしている。